いつかパラソルの下で (角川文庫)
いつかパラソルの下で (角川文庫) / 感想・レビュー
さてさて
「いつかパラソルの下で」という書名から感じるなんとも言えない突き抜けた清々しさを感じる物語。冒頭と結末になんら変化のない普通の日常が描かれた物語。登場人物の心の内に開かれた未来から感じる深さと爽やかさの絶妙な競演を楽しむ物語。森絵都さんが描く大人な物語は、人の心の機微に触れるそんな素晴らしい作品でした。
2020/11/27
青葉麒麟
やたら性が前面に出てんな、コレが大人達の話ってのもどうなんだ?って思っていたけれど、まぁ中盤からそれも段々とおさまって来て、無事に着地した感じ。子供にはアレコレ禁止させといて、自分は結構良い思いをしてた父親には腹がたったけれど、主人公が納得したなら良いかな。烏賊が食べたくなった。
2013/06/28
Atsushi
夏季休暇を取得して実家に帰省。夕方散歩をしていると古くから知っている婆様とすれ違う。「あら」と自分の名前をちゃんづけで呼んでくれた。もうすぐ還暦を迎えようとするのに少し照れくさい。兄妹が亡き父の故郷を訪ね、父と自らを見つめ直す物語。佐渡の紺碧の海が目に浮かぶ。
2018/08/13
ユザキ部長
亡くなったお父さんは異様なまでに堅物で無口で、自分のコンプレックスは全てお父さんのせいにしてた。そんなお父さんの半生と暗い血を追ってたら大切な自分自身の日常に気がついた。亡くなったお父さんには申し訳ないけど、とりあえず、私達家族は今生を楽しむね。しばらくしたら右手にパラソル、左手にビールを持って、お父さんの墓石に行くよ。
2016/06/13
優愛
「愛しても、愛しても、私自身はこの世界から愛されていないような、そんな気が心のどこかでいつもしていた。受け入れても、受け入れても、私自身は受け入れられていない気がしていた」読み終えた今、心から思う。大人になっていくその経緯を、私は細部まで愛していきたい。嫌いな自分を認めるその行為。自分を好きになるよりはずっとずっと困難でだからこそ価値のある行為を、生きている私達は肯定して生きていかなければいけないんだと本書が教えてくれたから。青すぎる海を前に、命の有り難みをそっと日傘の下に包み込み私は今日も生きている。
2015/03/15
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