ゴールド・フィッシュ (角川文庫 も 16-7)
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ゴールド・フィッシュ (角川文庫 も 16-7) / 感想・レビュー
りゅう☆
『リズム』から2年後。真ちゃんはライブを開催と夢を叶えつつある。だがある日、バンドが解散し別居中のおじさんの家にいることをテツから聞いてショックを受けたさゆき。真ちゃんはさゆきと会おうとしない。余計な事を考えないようひらすら勉強した受験生さゆき。夢を叶える。それは本当に大変なこと。応援してくれてるから応えたい、でもままならない。自分の夢とは?元気いっぱいのさゆきが葛藤しつつ少しずつ大人の階段を登っていく様子がなんかいい。今後も色々な壁が当たるだろうけどテツも真ちゃんもいる。いつでもリズムを作っていけるよ。
2020/04/23
きむこ
リズムの続編。挫折した真ちゃんがいなくなった。真ちゃんのお父さんのお願いは父親として当然の心配でものすごく共感してしまうし、真ちゃんに会いたいさゆきの中学生らしいまっすぐな気持ちもわかる。自分のリズムがわからなくなったさゆき。自分は将来何になりたいのか?この作品は前編から継続して大人びない実寸大の中学生が描かれており(作家さん達の描く中学生がやたらしっかりしてたりする)それでもちゃんと少しずつ成長してゆくのが読んでいて応援したくなる。★3.5
2021/08/22
さてさて
「リズム」、そしてこの作品を経て描かれる十代前半という時代。大人になった我々読者にも、それぞれのリズムで確かに時間が刻まれていたあの時代。まるでタイムマシンに乗って振り返るかのような切なさとほろ苦さ、そして懐かしさを感じる読書の時間でした。 大人が読む児童文学とは、あの頃の気持ちがよみがえる、あの頃の自分に出会える、そしてそれによって今の自分を改めて見つめ直す『スイッチ』のようなものかもしれない、そんなことも感じさせてくれた作品でした。
2020/10/16
kishikan
「リズム」から2年経ち、中学3年となったさゆき。いとこで、ロックをこよなく愛しバンドの夢を持って東京に飛び出した真ちゃん。「夢の実現という自分を信ずる生き方」と現実の厳しさや挫折を描いた物語。誰もが大人になる過程の中で一度は味わう感覚をさらりと、でも決して投げやりにならず、読者自身に考えさせてくれる森絵都さん渾身のストーリ展開に、好感が持てます。リズムも良かったのですが、それよりこのような展開を考え付く森さんのすごさは賞賛もの!それにテツくんの成長も微笑ましく、これこそ青春小説としては一級品の作品ですね。
2011/08/02
有
いい歳した大人なのに私は、夢や社会、自分のリズムや居場所に常に悩んでいる。楽しく幸せに暮らしたい、その為に何が出来るのか。青臭いことは重々承知だが、機転に立っている今背中を押してくれる本だった。夢を持ちなさいと誰かが言う。学歴がないと社会は冷たいと誰かが言う。若いうちに都会へ出ろと誰かが言う。次の仕事のあてもないのに辞めるなんてとまた誰かが言う。その誰かの声に耳を貸す貸さないは自分で、どんな選択をしても当事者の自分だけが見る未来だ。彼女たちの選択を見守りながら、私も私の夢を生きる。漠然とした夢だけれども。
2012/12/18
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