黒髪に恨みは深く: 髪の毛ホラー傑作選 (角川ホラー文庫 113-3)
黒髪に恨みは深く: 髪の毛ホラー傑作選 (角川ホラー文庫 113-3) / 感想・レビュー
KAZOO
髪の毛のホラーに関するアンソロジーです。昔から女性の髪には何かあるということでこのようなアンソロジーが生まれたのだという気がします。非常に工夫されていて、上村松園の表紙絵の全体像の絵が収められていたり、髪の毛がはさまっているような感じがあったりします。定番の「四谷怪談」のほか、杉浦日向子さんのコミック、泉鏡花の「黒髪」などが印象に残りますが、東雅夫さんの「貞子はなぜ怖いのか」がわたしにとっては一番でした。
2023/11/28
mii22.
妖しきは女の黒髪。髪の毛は生を失うと、情念のこもったおぞましいものになってしまうのは何故だろう...。生きている女性の黒髪は美しく魅力あるものと思われるが、死者の髪や切りとられた髪、抜け落ちて排水口に絡まった髪などは、触るのも躊躇われるほどおぞましいものと化する。そんな黒髪を題材にしたアンソロジー。伊藤人誉『髪』でまずゾクッとさせられ、泉鏡花『黒髪』に酔いしれ、最後は「指は、あげましたよ」から始まる皆川博子『文月の使者』でノックアウトです。他にも四谷怪談、貞子、エクステ怪談...盛りだくさんの一冊。
2015/08/24
じゅんぢ
女性というだけで怖いのに、そこに黒髪が足される事によって恐怖、というか不気味さが倍増される感じがいい。あと、このごろ、黒髪の女性が少ないから新たに黒髪の女幽霊が生まれにくくなっていることが残念だと思う。
2017/12/26
Yu。
黒髪… それも長く艶やかな黒髪ほど安らぎと怖さといった両極端な感情を同時に抱かせるものはない… そんな闇色に魅せられた著名な作家らによって幻想的かつ怪奇に料理されたアンソロジー。。お気に入りは、謎過ぎる謎の女による静かな恐怖がたまらない‥ 伊藤人誉「髪」。不気味さとほのぼのさがこれほどまでにマッチするとは… 謎の怪現象の噂を確かめるべく足を運ぶ夫婦御一行の物語‥ 村田喜代子「生え出ずる黒髪」。ほんと上手いねぇ、まるで落語の小噺のようだ‥ 皆川博子「文月の使者」。
2016/07/22
ニミッツクラス
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の三・和洋折衷〉 06年(平成18年)の税抜629円の文庫初版。角川ホラー文庫の“丈なす黒髪”のコンセプトアンソ。14題収録で、うち5題は対談1、奇談エッセイ2、編者解説1、漫画掌編1と成る。対談やエッセイ、翻訳物(モーパッサン)一編、或いは比較的近年の学園物を入れたので傑作選アンソとしては濃縮しきれていない印象。「生え出ずる黒髪」は脇話の江戸時代の本草探求の様子が興味深い。「闇絵黒髪」はサスペンスミステリ。姉妹巻は「闇夜に怪を語れば」「血と薔薇の誘う夜に」。★★★★☆☆
2023/08/16
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