きみが住む星 (角川文庫 い 58-3)
きみが住む星 (角川文庫 い 58-3) / 感想・レビュー
やま
きみが住む星 1992.10発行。字の大きさは…小。 この本は、美しい風景と、愛しい人に宛てた手紙が綴られた、恋の本かと思って最後まで読んでしまいました。 そして、いつ旅が終わって愛しい人のもとに帰るのかと……最後まで気になっていました。 美しい風景を見ながら愛しい人にふみを書く、その思いを私は読んでして癒され、そしてせつなく感じました。 池澤夏樹さんの本を読むのは始めてです。
2020/05/30
新地学@児童書病発動中
非常に好みの本で、読んでいる時に気持ちが高揚した。ぼくがきみに旅先から送る、優しさに満ちた手紙。最初の手紙でスケールの大きな視点が示される箇所が特に好きだ。きみがいるからこの星が好きなんだ、きみがここに立っているのは、奇跡のような自然の造形の積み重ねの結果だ、とぼくは書く。詩人から出発した人なので、一つ一つの言葉に鮮やかなイメージが込められていて、読んでいると脳裏に情景が生き生きと浮かんできた。「朝焼けコレクター」とか「風景を洗う」と言った表現は、詩人の感性から来るものだ。手元に置いて繰り返し読みたい。
2017/09/14
雪うさぎ
あなたはこの星に吹き渡る風のよう。私の背中をそっと押し、翼を広げる勇気届けてくれた。飛び立つことに怯え、深い井戸の中からただ星空だけを見つめていた日々。あなたは教えてくれた。世界にはその場所でしか、その瞬間にしかないものがあることを。この星は美しい。モノクロだった風景が少しずつ色を帯びた。今は涙も乾き雨上がりの虹が見える。あなたと同じ色の景色が見たい。今度は私が旅立つ。群青の空を越えて、夢の向こうへ。この星で出会う奇跡をあなたに届けたい。
2019/11/04
chantal(シャンタール)
エルンスト・ハースの美しい写真を絵葉書に見立て、旅する恋人から送られるメッセージ。空港で別れ、飛行機から見下ろすこの美しい星、愛する君が住む星だから大好きな星。旅先からもらう絵葉書って、ほんとに嬉しいよね。SNS等が発達し、絵葉書を出したりもらったりする事なんて、ほとんどなくなってしまったけれど、今度どこかに旅に出た時には誰かに送りたいなあ。君が住むこの美しい星のどこかで、君を思い綴る文章。私の次なる旅は取り敢えず明日からの南京と徐州への出張だ😅ああ、素晴らしきかな、我が旅人生!最後が締まらない・・
2021/05/19
ケイ
旅先での写真とともに送る恋人への手紙の形をとっている。どこの国か、または複数の国なのかわからないが、花の多い風景も、海沿いも、砂漠のようなところも写真がとてもきれいだ。花の写真は確かに心を和ますが、圧倒的なのは、住むのが厳しいように見える風景。掘られた石が集まった場所や、急斜面の荒涼としたところには是非行ってみたくなる。そしてフラミンゴが飛び立つ写真には息をのんだ。
2014/05/01
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