KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

壊れた少女を拾ったので (角川ホラー文庫)

壊れた少女を拾ったので (角川ホラー文庫)

壊れた少女を拾ったので (角川ホラー文庫)

作家
遠藤徹
出版社
KADOKAWA
発売日
2007-11-21
ISBN
9784043838028
amazonで購入する Kindle版を購入する

壊れた少女を拾ったので (角川ホラー文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

てち

ホラーと言っても様々な怖さがある。例えば、幽霊や人間の残虐性などといったものだ。遠藤徹の作品は従来の怖さといったものではない。それは、先行きが見えず物語がどのように終着するのか不透明なことからくる怖さである。また、彼の作品は、設定がめちゃくちゃである。しかし、なぜだが知らぬうちにその設定を受け入れてしまう。これは、その設定があたかも普通かのごとく淡々と文章が書かれているからである。

2021/05/26

Bugsy Malone

前作「姉飼」同様、不条理が当たり前に存在する著者独特の世界。先が見えない不安を煽る文章とストーリー。それだからこそ「姉飼」から続く短編の中にあって、今作収録の、家電と人との愛を描いた「カデンツァ」、人類終焉の情景を切り取った「桃色遊戯」の2編が深く心に沁みてしまう。

2017/02/05

いちろく

紹介していただいた本。人の頭をくり抜いて弁当の容器に使用したり、校内で人の肉を貪る出来事が行われていたり、人と家電が恋に落ちて子供が出来たり、壊れた少女を拾ったり、ピンクのダニに埋め尽くされる終末だったり、と本来ならば理解不能な出来事が、日常の中でごく当たり前のように描かれている点が作品の特徴と感じた。ホント、この作品の世界観では普通なのだと。何が怖かったかって?この様な内容にも関わらず、一定のペースで淡々とページを捲っている自分に気がついた事。恐怖や違和感はなく作品として終始平然と受け入れていた。

2018/12/17

みや

読書会のために再読。独特の世界観が本当に大好き。最初は奇抜な設定に面喰ったのに気付けばそこに馴染んでいて、自分がこれまで生きてきた日常の狭さに気付かされた。生首の弁当箱、家電との恋、内臓を露出する教師と生徒…それが当たり前の世界では私の価値観なんて容易く凌駕される。深く考えもせずに恋愛対象から電化製品を抜いていた過去の自分は、なんて狭い視野で生きていたのだろう。この本を読んで固定観念や先入観を壊すスイッチを手に入れて以来、物事の可能性が格段に広がり、毎日が更に面白くなった。世界を変えられるのは、自分自身。

2018/12/02

カノコ

読書会紹介本。わたしが今まで踏み入れたことのない世界での物語に、読み終えた今でも不安に囚われて動悸が止まらない。人間の首を弁当箱にした「弁頭屋」、教師と生徒の喰らい合いの儀式「赤ヒ月」、家電と人間との恋物語「カデンツァ」など、普通に生きていればおかしい、否おかしいと思わなくてはいけない話なのに、不条理を描くよりも狂気に満ちた正常な語り口に混乱する。特に「赤ヒ月」は獣としての根源的な官能にゾクゾクしてしまって自分でも戸惑った。痛いのも怖いのも嫌いなのに、この作品の場合それに言及するのはナンセンスかも。

2019/01/13

感想・レビューをもっと見る