生き屏風 (角川ホラー文庫 た 2-1)
生き屏風 (角川ホラー文庫 た 2-1) / 感想・レビュー
aquamarine
村はずれで暮らす妖鬼の皐月。彼女が依頼を受け、亡くなった奥方の憑いた屏風の相手をする表題作をはじめとした連作3編。これは表題作が日本ホラー小説大賞短編賞受賞作ということからか、角川ホラー文庫から出ているが、ホラーというよりは人と妖との優しい日々を描いたファンタジーに近いのではないかと思う。どの話もそれぞれ好きだが、一番インパクトがあったのは「馬の首で寝る」という状況が絵で浮かんだ部分かもしれない。妖猫に雪に変えてもらいひらひらと宙を舞い、さっと溶ける…。音のない世界が浮かんでちょっと泣きたくなった。
2020/08/21
大阪魂
大阪怪談の青蛙さん。第15回ホラー小説大賞短編賞とらはった「生き屏風」含む3つの短編集。県境で魔や疫病の侵入を馬と一緒に守ってる妖鬼の女の子・皐月が主人公。癒しのホラーってゆーだけ、なんかほっこり、なんか物哀しい、そんな感じのお話ばっかりやった!いきなりの「皐月は馬の首の中で眠ってる」に何それ?馬、毎日殺してるん?っておもてんけど、そのへん妖怪ファンタジーやったね!1番よかったんはやっぱ「生き屏風」。屏風に憑依した奥方の霊が皐月とはぐれもん同士仲良くなってくとことか、ほんまほっこりした!続きも楽しみ!
2022/05/03
kariya
容姿は平凡、大きな力もない。眠るのは飼っている馬の首の中。県境に住む皐月はそんな妖鬼だ。死んだ奥方が取り憑いた屏風の話し相手を頼まれて、屋敷を訪れた皐月は、噂に違わず性格の悪い奥方とそれでも意外に気が合って。目を見張るような怪異はないが、人と人でないものが自然に入り混じる風景の中で、静かに紡がれる物語は奇妙な懐かしさが後を引く。昔々のどこかでは、屏風と酒を酌み交わし、話す猫に変化の術を教わった娘の鬼がいたような。
2010/05/19
星落秋風五丈原
頼まれたのは「病で死んだ酒屋の奥方が屏風に取り憑いて、あれこれと我がままを言うので、話相手になって欲しい」ということ。現世と異世界の真ん中に絵が介在するのは、行方不明になった親友が掛け軸から出てくる、梨木香歩の『家守綺譚』と似ている。「死んだ後も生きた人間を困らせるなんて、傍迷惑な」という奥方の印象が、皐月との交流で変わってゆく。妖艶な狐妖、喰えない猫みたいな皐月の師匠が登場し、ほのぼのした雰囲気が漂う。この先いくつの「あやかし物語」が語られるのか、楽しみだ。
2008/12/05
はらぺこ
寝る場面を想像したらホラーやけど全体的には牧歌的な1冊。 表題作では妖鬼である皐月の能力が少し見れたが、その後の話では思い出話で語られるぐらい。現在、凄い妖鬼になってるのかドジな妖鬼のままなのか分からない。これだけやと物足りないので続編を読んでみます。
2011/06/03
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