不思議の扉 時をかける恋 (角川文庫 あ 101-1)
不思議の扉 時をかける恋 (角川文庫 あ 101-1) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
最も切ない恋を描くのが、乙一「Calling You」。時を隔てる思いが、すごく泣ける。似たパターンの物語は他にもあるだろうが、本当に「何てことだろう……」と溜息が出た。貴子潤一郎「眠り姫」は、冒頭の名作・梶尾真治「美亜へ贈る真珠」と骨格は同じでも、感覚の違いが味わい深い。自分としては大人の恋よりも、青春の恋に魅力を感じるので、より切なく思う。だから時間SFは好きだ。本書は再読(のはず)。発行の2010年から11年後に再入手。解説の文章にさえ、やや時の流れを感じさせる。これはさすがというべきだろうか。
2021/12/10
エンブレムT
恋を絡めると『時間』というのは越えられない障害にしかならないのかな・・・。登場人物の想いが一途であればあるほど切ないラストが待っていました。時というものの容赦ない残酷さと、救いともいえる永遠と忘却、それを同時に堪能できる作品集でした。余韻の残る読後感は好きだけど、1作くらいハッピーエンドが欲しかったなぁ。。。解説で紹介されてた作品達にも魅力を感じたので、少しずつ読んでいこうと思います。
2010/04/21
くろり - しろくろりちよ
時をかける恋ということで、時間小説のアンソロジー。・梶尾信治「美亜へ贈る真珠」・恩田陸「エアハート嬢の到着」・乙一「Calling You」・貴子潤一郎「眠り姫」・太宰治「浦島さん」・ジャック・フィニイ「机の中のラブレター」収録。いろんな作家さんを一度に読める、そして他に作家さんの略歴とお勧めの本が解説に書いてあるとてもお得な一冊です。乙一のが切なくて好き。他、恩田陸は続きの『ライオンハート』を是非読まなければ!と。良い一冊でした。時間ものの恋は叶わない運命。その切なさに惹かれるのかな。
2012/07/09
スカラベ
いろんな形で時を隔てたラブストーリー6作が収録された短編集。梶尾真治「美亜へ贈る真珠」、貴子潤一郎「眠り姫」は、そばにいながらも見守るしかできず、やりきれない気持ちになる話。乙一「Calling You」は空想の携帯電話、ジャック・フィニィ「机の中のラブレター」は手紙を通じ、時間、時代を超えて交される恋物語。恩田陸「エアハート嬢の到着」は元となる「ライオンハート」を読まないと謎が解けない。と、ここまでは切ない話。太宰治「浦島さん」は、ちょっと異色な浦島太郎の太宰論。これで不思議の扉シリーズ4つを制覇です。
2014/03/30
夜梨@灯れ松明の火
不思議の扉1・「時をかける恋」のアンソロジー。太宰治は大昔、中学か高校の頃読んだ記憶がありました。恩田さんライオンハートは既読。その時には読み流してしまいましたが、再読してみます。今回の一番は乙一「Calling you」泣けます。ジャク・フィニィ「机の中のラブレター」も短いけれど、墓石に刻まれた言葉が悲しいです。思っていた以上に素敵な話ばかりだったので、2作目も読んでみます。
2012/07/28
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