雪冤 (角川文庫 た 61-1)
雪冤 (角川文庫 た 61-1) / 感想・レビュー
しんたろー
大門さん3冊目。死刑制度と冤罪について真正面から描き、ずっしりと読み応えある作品…これがデビュー作とは!真剣に考えなければいけない問題を提起しながらもエンタメ性を盛り込んで飽きさせない物語に仕上がっていて舌を巻いた。ミステリとしては"フーダニット”をメインに据えて二転三転する展開が巧いが、殺害状況や動機は粗さがあるのが残念。それでも、切ない心情が絡んでいるので大きな欠点とは思わなかった。『確信犯』でもそうだったが「ここで、この人を退場させるの?」という驚きがあり、その潔さが特徴であり、面白さの所以だろう。
2019/05/14
青葉麒麟
冤罪と死刑廃止は別問題なんだ。私には同じに思えてしまう( ´△`)黒人霊歌「スンダビ」聴いてみたいな。
2012/06/29
三代目けんこと
…………………………(言葉にできない)。横溝正史ミステリ大賞で、騙された、騙されない、衝撃の結末…、そんな事などは、どうでもよい。すごい本に出会った。本書を読み終えた者達は、大きなものを背負うことになる。
2020/02/09
nobby
ヒトの命の価値を誰が決めるのか…その儚さや尊さ、様々な感情を掻き乱されるばかり…死刑囚の息子の冤罪を信じ続ける元弁護士の父親と、姉を殺された怨恨を抱きながらも徐々に無実を悟りだす妹、加害者・被害者双方の想いが入り乱れる展開に自らの考えが揺らぎ分からなくなる…そんな中、ほぼ中盤での衝撃に思わず絶句した後は、真相知るべく夢中で読んだ。死刑と冤罪を切り離して考えるべき、当然でありながら混同しがちな難しさは何とも胸に響く。それでも尚、浅はかながらも死刑賛成の立場は変わらないが、自らボタンを押す覚悟は持っておこう!
2019/04/19
モルク
15年前若い男女が殺され、犯人として逮捕された慎一は死刑判決が。息子の無実を信じ弁護士を辞め奔走する父親、再審を目指し協力する弁護士石和、姉を殺された菜摘を通して死刑制度と被害者家族の複雑な心情を語る。事件の時効寸前のある日、真犯人を名のる男から電話が…。やはり冤罪だったのか。次々とあらわれる疑わしい人物、でももしかしたら善人だた思われるあの人かも…展開がころころ変わり誰が真実を述べているのかわからなくなる。そして予想を上回る真実が。死刑制度と冤罪を同時に捉えることは難しいが確かに一石を投ずるものだった。
2019/02/24
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