きりこについて (角川文庫 に 19-1)
きりこについて (角川文庫 に 19-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
西加奈子というのは、極度に振幅の大きい作家のようだ。すなわち、いい時にはこの人にしか書けない独特のペーソスに溢れた小説を書く一方で、不調の時には目も当てられない。それでも書くのはプロの作家らしくはあるのだが。さて、本作はその残念な方の西加奈子である。主人公のきりこのデフォルメにしてもそうだが、出てくる人物たちのことごとくがステレオタイプを脱することができないままで終わってしまう。猫のラムセス2世もまたしかり。俄かに語り手に据えたところで、いかほどの効果を上げるわけではない。
2020/03/17
ehirano1
薄い本、やはり恐るべし!読感は「うまい!」としか言い様がありません。そして何処からか「そうなること(=当方が”うまい!”言うこと)は分かっていたよなぁ!」「わかっていたよなぁ!」とラムセス2世とその他面々の猫達が当方に向かって言っているのが聞こえたような気がしました。お勧めです。
2017/10/07
mae.dat
西加奈子さん初読です。様々な人気作品を発表されていて、何処から入ったら良いのか手を拱いておりました。そしたら本書はねこねこ本であると知ってね。それならと読むに至った訳ですけど、はじめましてが本書で良かったのでしょうか。と、言うのも文体が故意なのだろうと思うのですけど、稚拙な感じがしてやや読み難い。そして明け透けな性表現とか苦手。ストーリーに潜ませたメッセージは分からなくも無いけどなぁ。本屋大賞ノミネート5作の中から何か読んでみようと思うけど、これが西さんの真骨頂だよって事だったら考えて仕舞うよ。
2024/07/01
射手座の天使あきちゃん
「ブス」これほどの侮蔑語があるでしょうか? これは先が思いやられるなぁと読み始めましたが、きりことラムセス2世のおかしな大阪弁の掛け合いに大爆笑!! 最後の方は「えっ、いったいどこ行くん!?」ってぐらいアブナイ感じもしましたが、「世界は肉球よりもまるい」、「容れ物も中身も込みで自分!」など名言に溢れていました(笑)。 ところでなんで表紙のラムセス2世はピンクなん? <(^_^;
2014/06/08
hit4papa
自分は可愛いと思っていたら、小5でぶすだと気付かされた、きりこ。本人と周りの勘違いで、それまでリーダーシップをとっていたきりこですが、長づるに従って人気者からどん底人生へまっしぐらです。ここまでか!と思うほどの”ぶす”描写は、迫力満点。なるほどと納得せざるを得ません。親友、天才猫のラムセス二世との交流が笑えます。ついに引きこもりとなったきりこ。ひとつの出会いから人生の転機を迎えます。長じたきりこが色々学んじゃう人生の教科書的な作品です。前半の飛ばし気味の笑いは失速するものの愉しく読ませていただきました。
2018/04/16
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