鬼と日本人 (角川ソフィア文庫)
鬼と日本人 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー
テツ
鬼について。鬼的な姿のモノは節分の豆撒きで被るお面などで目にするし、「心を鬼にして」「鬼の目にも涙」などといった言葉を通しても日本人にとっては馴染み深い筈。それでも鬼とは何なのかということについて聞かれても大多数の人は答えられないだろう。人間には出来ないことを行う人間とは思えない力を持つ鬼たち。しかし彼らのベースとなる姿は角がある程度で基本的に人と同じだ。力の象徴。神ほどには遠くはない力。荒ぶりまつろわぬものどもの溢れ出すような力。人間と近い姿で人間には決してできないことを行うというのが鬼の肝な気がした。
2020/03/13
Norico
赤や青色の皮膚に角があり、虎皮の服を着て、金棒を持っている。鬼は最初からそうだと思ってたけど、昔はもうちょっと幅広く、今なら妖怪と呼ばれるものたちも「鬼」だったんだなぁ。中央の権力と鬼の関係とか興味深い。鬼と人間の間に生まれた子ども、片側人間の考察は、後半難しくてよく分からなかった。
2021/05/26
春風
「鬼」とは大昔から日本人が特定の現象や存在に対して用いた民族語彙・民族概念。赤ら顔で牛の角が生え、虎柄の穿き物に身を包むというキャラクターに止まらない。むしろ、学術用語・分析操作概念である「妖怪」という大分類と多く重複する概念でもある。しかし民族に依存する語彙・概念であるという特性上、指示範囲・意味内容については、時代と土地によって差があり把握しづらい。本書はそんな鬼に対する小論考を集録したものであり鬼を体系的に理解できるものではないが、人の反対概念として、片側人間を通して等、本質に迫るものとなっている。
2019/12/01
LUNE MER
高田崇史QEDシリーズの愛読者であれば助走なしで一気に駆け抜けられるような内容。「鬼」というコンテンツを深掘りしていくことでこのような歴史が眼前に広がっていく知的興奮を若い人たちに少しでも多く知ってほしいな。
2023/04/17
スプリント
鬼の文化史です。よく知られている伝承を取り上げ考察をしていてどの章も面白かったです。 生物学的にみると角がある生き物のほとんどは草食動物らしいですが、角=凶暴性が定着した所以を知りたいですね。牙から転化したんでしょうか・・・。
2018/10/14
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