これやこの サンキュータツオ随筆集
これやこの サンキュータツオ随筆集 / 感想・レビュー
コットン
渋谷らくごのキュレーターである著者を知ったのはポッドキャストからで、その後日本語学者としてたまにテレビで見かける。ポッドキャストでもそうであるようにこの本についても、落語家と表面上はあくまでさりげなく対応しているようでありながら落語家への愛が溢れる。故人になられた柳屋喜多八師匠や立川左談次師匠とのやり取りから改めて師匠お二人の落語家としての芯を感じさせてくれる。
2021/01/13
fwhd8325
「これやこの」でシブラク。そして、喜多八師匠、左談次師匠とのドキュメントとも言える記録は読み応えがありました。このエッセイが半分を占めているのですが、後半も著者の死に関わるエッセイになっていました。こうも死に関わる話が続くと少々厳しいなと感じながら読みました。センチメンタルと言ってしまえばそれまでですが、後半は、息苦しい。
2021/05/05
ルピナスさん
出会いがあれば死という別れもあるということを通して、それぞれの人との思い出を編んだ随筆集。落語のお師匠さんだけでなく、学生時代の先生、友人、人身事故で亡くなった名前も知らない誰か等、様々な方に想いを馳せて書かれた文章。とても味があって気づかなかったツボを教えて貰えたようで都度グッと来る。私も他の方のレビューにあるように「時計の針は背が高い人が直せば良い」が心に沁みた。終わりの分からないこの人生、私が気付いてやりたいからやっているのだという気持ち、何の勘定もない素直な気持ちを持てる大人でいたいと思った。
2023/06/06
kou
落語に対する愛憎入り交じった想い。そして、著者の今まで触れてきた死の記憶について書かれていたが、悲壮感が溢れるような感じではなく、読む度に、ノスタルジックになるような文章だった。自身も多くの死に触れてきたが、こんな感じには語れないと思う。それだけでも、作者の人柄の良さと力量が感じられる一冊だった。
2020/11/16
たらお
いいところは、本の半分を占める表題作。作者が「渋谷らくご」のキュレーターとして、出演をお願いしていた二人の落語家、柳家喜多八と立川左談次とのやりとりであろう。共に60歳を過ぎ、癌と闘いながら、亡くなる月まで高座に上がり続けるという生き様を見つめている。しかも、作者は出演を依頼する立場なので、依頼の葛藤も十分伝わる。自分の人生がもう幾ばくもないとして、自分のつらさを相手に見せず、人の可笑しさや人情味を伝える噺家という生き様に触れることで、あぁ落語は生で見るべきだなぁと思ってしまう本である。
2021/07/26
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