千夜千冊エディション 源氏と漱石 (角川ソフィア文庫)
千夜千冊エディション 源氏と漱石 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー
かふ
日本文学案内(ナビゲーター)としての本。『源氏物語』についてはかなり詳しく3回にわけて、五十四帖すべてを解説してくれているので、これから読む人にも便利なナビゲーターとして役立つと思う。ただ『源氏物語』にパワハラはないとか西行が桜を日本に広めたとか間違ったことを断言するのでそのへんは注意する必要があると思う。『源氏物語』を漱石に繋げる読みは「追伸」として書かれたあとがきで示されるだけで、本文はそれぞれの文学案内としての内容である。日本文学の彼岸性、此岸という現実世界と彼岸という幻影世界の二面性。
2023/07/06
なおこっか
源氏と漱石をつないでみたい、との正剛先生のまえがきを読んだ時は???っとなったけれど、通読すると西行や芭蕉や西鶴や井月を経て、日本文学の地下水脈がきちんとつながっていた。源氏は珍しく三夜にわたって解説されているが、その概要自体は源氏読みにとっては既知であったりする。しかし重要なのはその先で、源氏は源泉なのである。それぞれの時代時代の作者としては既読の作品も、この流れにのまれて読んでみたくなるし、今回提示された水脈以外も探してみたくなる。正剛先生が“逸品”と言う幸田露伴も読まねばなるまい。
2023/12/28
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