一目小僧その他 (角川ソフィア文庫)
一目小僧その他 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー
HANA
我が国に伝わる伝説の数々が、系統だてられて論じられている。一読でこれほど多くの伝説が、形を変えてこの国の隅々まで行き渡っていることにまずは驚かされた。その内容もある池に片目の魚が生じる事や片耳を失った面の話、橋姫からの手紙を書き換えて命永らえた事、隠里と椀貸伝説、淵の主が僧と化して命乞いをする話や餅が白鳥になった話、ダイダラ坊の足跡、狐のおかげで立身した話とどれを取っても興味深いものばかり。表題作の結論は昔読んだ時も突飛であるなと感じたが、新しい解説でその後の研究も紹介されていてそこも興味深かった。
2013/02/19
miroku
フィールドワークこそが民俗学の基本。豊富な事例を引用しながら、安易な結論を引き出さない柳田国男氏らしい著作。
2014/09/20
きいち
柳田國男って、こんなにお茶目だったんだ!という一冊。「いくら妖怪でもそうそうは人の耳を取ってばかりもいられなかったかと思う」「江戸の狐狸はよく昔から北国筋へ往復している」…。「どれも愛着がある」という大正~昭和期の文章を集めたもの。だからか、一目小僧はもちろん、ダイダラボッチ、餅が成った白鳥、どの話もとにかく語り口が楽しい。そうだよな、民俗学という新しいことを立ち上げて、南方熊楠とつながり、折口信夫や宮本常一や各地のたくさんの仲間を引きつけてきた(この本にも多くの投稿が採用されてる)のだもの、陽性だよな。
2013/04/07
黒猫
一つ目小僧の絵本を読んで、興味をもったので読んでみたら、だいぶイメージと違いました。表題以外は興味がわかず断念。京極夏彦さんの妖怪小説を読んでみようと思います。
2017/06/26
不羈
“初”柳田国男。民俗学に興味はあったが、深い。上橋菜穂子氏が専攻する文化人類学という学問に通じる感。まだまだ知識不足に打ちのめされるが、とても面白い。書かれているいろんな地域に行ってみたい。
2014/02/23
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