新版 精神分析入門 上 (角川ソフィア文庫)
新版 精神分析入門 上 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー
いりあ
Sigmund Freudが1915年から1917年にかけてウィーン大学で行った精神分析に関する一般向けの講義を編集したものです。一般向けの講義なので、フロイトの著書の中では比較的分かりやすく、フロイト入門として最適だと思います。こちらは上巻で、精神分析の講義に入る前の前段階として"間違え"と"夢"について解説されています。この巻については、フロイトの"夢分析"などを既に読んでいれば、エッセンスが簡潔にまとめられているのがわかると思います。いまさらフロイトもないだろうと思っていても読む価値ありです。
2015/02/18
ぺったらぺたら子
講義される項目が、正にその順番でなければならないようにうまく練られていると感じた。また、いちいち反論を想定してそれを潰していくスタイルを見て、人の神経を逆なでする内容が、どれほど強く嫌悪され批判され否定されつづけてきたか、その苦労と苦難とを示しているようだ。人の心が検閲して拒絶したくなることを直視するのが主な役目だから。予備知識もあり、またそれまで日常で感じていた様々なことなどが繋がり、パズルのピースが気持ちよくはまるような感覚ですんなり特に違和感もなく読んだ。また読んでいる間、夢をよく見た。
2023/09/06
ねころじ
古い和訳だからか大変読みづらかった。違う出版社から出てる奴よりこっち(角川)の方が安いから買った。「フロイトは全て性に結びつける」と聞いたことがあったから読むのを避けていた。しかし、最近病院を見学した時、精神科医のフロイト至上主義を目の当たりにして興味が湧いた。読後、夢を見るのが楽しみになった。夢には慾望が現れる。実に嬉しいことだ。自分は無欲だと思っていたのに、こんなにも欲、夢にまみれていたのか!後半は新潮で読もうかな…
2012/10/15
テッテレこだち
夢を通じた精神分析の手法についての講義録をまとめたもの。元々は神経症患者に対する治療のために編み出された手法ということなのだが、夢の実例として挙がっているのは結構女性が多いな…という気がする。夢の検閲官がもたらす不都合への検閲のくだりは面白かった。
2024/06/30
swingswimmer
精神分析学の基礎を作り上げた筆者による理論の概説で、上巻は「間違い」「夢」について取り上げている。人文科学(とりわけ言語学や後の文化人類学)を援用し、人間が自分の経験や思考をいかに特定のモチーフと結びつけ、その形を変化させるのかを説明している点が興味深かった。ただ、願望充足の分析は性別二元説とミソジニーに依拠する点が多く、社会通念の変遷などによって容易に揺らぐのでは、と感じた。また、時代柄だろうが、症例説明で患者のプライバシーなどにほとんど気を遣っていなさそうなところは気になった。
2021/07/31
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