パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ (角川ソフィア文庫)
パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー
Miyako Hongo
古本屋で見つけて即買い。□1930~のフランスの娼館の資料本。娼館が公に認められていた背景と制度、運用などなど。高級娼館内部の写真やプレイの写真が載っていて妄想を掻き立てる。ヨーロッパの変態にムチフェチが多い訳や、スカトロジストの細分類、疑似恋愛と抜き産業が分化しているのは日本だけという考察や、ノーパンしゃぶしゃぶやイメクラや覗き部屋がこの時代にすでに存在したことなどなど...面白いネタテンコ盛り。□”衣食住足りて変態を知る”とか”金銭と肉体との等価交換”とかの名言多し。面白くて一気読みでした。
2014/10/25
長野秀一郎
19世紀パリの娼館についての入門書。元々は別の2冊の本であったものを再構成したせいか全体としての構成に乱雑さが見られる。個人的には冒頭で「待合(戦前の料亭・茶屋)について書きたい」と語っていたが、個人的にはそちらも読みたい。ともあれ日本で言えば江戸~明治期に日本のそれと同様の業態が仏にあったことは興味深い。またこんにちでいうところのクラブ・キャラバクラ?的な役割を果たしていたとかも面白い。評価4-。
2017/02/26
takam
性風俗関係のビジネスは長い歴史を持つものの、時代や地域を超えた普遍性を感じる。SMクラブに通う地位の高い紳士や妄想を原体験できるようなイメージクラブのような遊び方が19世紀からあったことに驚く。そして、娼婦の心理をうまく使った循環ビジネスの構築までされていて、今の週刊誌が描く風俗店と似たような実態が描かれている。性について人間は大きく進歩していないという点で、娼婦相手にしか本能を出すことはできないのかもしれない。一方でその本能を相手する娼婦も感情ある生き物のため、心が擦り切れている感じに救いがなかった。
2019/10/23
トマシーナ
久々に鹿島先生の著作を読んだ。その内容の濃さに比べて、素人にも分り易い語り口の面白さにあっという間に読み終わってしまった。娼婦、娼館は必要悪と言われながらもそこに華やかな「文化」があるのはとてもフランス的だと思う。娼婦たちの日常の悲惨さと外観の華やかさという相反する部分は日本の廓や花魁の存在に匹敵する。歴史の表舞台ではなかなかお目にかかれない、とても興味深い読み物だった。
2017/02/28
hiroshi
鹿島茂である。フランス文学者・評論家であり近頃はエロの事ばかり書いている。もちろん決してふざけているのではない。ゾラもモーパッサンも、そしてユゴーのファンティーヌも「売春」「娼館」なくして語れないのだ。変態も貧困も性病も含めて社交場でありサロン。むしろ「社交(キャバクラ等)」と「“射精”風俗」が別業態として成り立つのは日本くらいだとし「日本独特のものであり、国際的な比較社会学研究にも値する」なんて唸ってしまい笑ってしまった。
2020/09/27
感想・レビューをもっと見る