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日本再発見 芸術風土記 (角川ソフィア文庫)

日本再発見 芸術風土記 (角川ソフィア文庫)

日本再発見 芸術風土記 (角川ソフィア文庫)

作家
岡本太郎
出版社
KADOKAWA/角川学芸出版
発売日
2015-07-25
ISBN
9784044094881
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日本再発見 芸術風土記 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー

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s-kozy

太郎が秋田、長崎、京都、出雲、岩手、大阪、四国をあくまでも芸術家として旅して、その土地の人々や風土を見届け、そこから感じたこと、考えたことを記録したもの。だから「芸術風土記」。根底には「逞しく人間が息をし、生活する場所には、どこでも第一級の芸術があり得る。」との思いがある。迸る思いで各地を訪ね、率直な思いを文章にまとめてあり、興味深い。取材したのは1957・昭和32年頃のはずだから、まだ日本が貧しかった時。その頃の日本各地の姿を知ることもでき、紀行文としても優れている。太郎撮影の写真の完全収録も嬉しい。

2018/03/26

鷺@みんさー

1957年の日本各地を、岡本太郎が旅し、撮り、語り、くさし、誉め、励ます。なんたって写真がすごい。白黒なのも雰囲気に一役買ってるが、京都の清水寺までの道のりに並ぶ家々と人の出で立ちが、もうとんでもなくカルチャーショック。ジェネレーションギャップ。そりゃそうだ、60年前だもの。ここにはどうしたって「戦前」「戦中」「戦後」が出てくる。それらはカテゴリであり同時に地続きである。岡本太郎は軽やかに一刀両断したあげく、優しく発破をかける。私の知らない、あの頃のニッポンがここにある。

2018/12/01

ホークス

1957年の連載。秋田、長崎、京都など7篇の探訪記で写真は著者撮影。貧しく古い日本を、同情も慰めも抜きに解剖する岡本太郎の気合。長崎ならば、輸入文化による開けた感性はあるが新しい展開がないと断じる。京都ならば、品や格はあるがモダンを解さず表面だけ真似て、新取の精神を忘れていると厳しい。茶道本来の闘争性、前衛性も京都から回復せよと迫る。アクが薄らいだ大阪に対しては現実的な提案をする。常に体裁を繕わず泥くさい。「ひねこびた」「チマチマした」日本人を否定し、「のびのびと開け」と今もあの世から挑発し続けている。

2019/07/28

ロビン

「ほとんどすべての日本人が、芸術なんて高級なものは自分と関係ないと思いこんでいるし、また事実関係なく生きているといってよいだろう。しかし私はそれが必ずしも悪条件だとは思わない」こう考えて秋田、長崎、京都、出雲、岩手、大阪、四国へと芸術発見に挑んだ太郎の民族学的旅行記。商業の街大阪では苦戦するものの、困難だとかえってファイトが湧く太郎は諦めない。悪いところをズバッと批判するが、その土地の人びとのことを思い、可能性を信じる故の率直さなのだ。そしてこの風土記で、民族独自の民衆のエネルギーという希望を発見した。

2022/07/14

roughfractus02

国家が庇護した文化財を訪れる批評家たちの「巡礼」を批判する著者は、手懐けられない異質さに出会うための「旅」をする。秋田のナマハゲや岩手の鹿踊りに環太平洋に分布する有史以前のモンゴロイドの生と文化創造の跡を見出す本書は、その一方で、徳島の「人形首」のような素朴な工芸にも近代の民芸運動によって芸術化される危険も指摘する。著者が熟読したエリアーデ『シャーマニズム』を思い起こさせる本書は、秋田、岩手、京都、大阪、出雲、四国、長崎の地名を、歴史遺産の所在地から、日本を超えて今も潜在する呪術的な古層の痕跡に変える。

2023/03/18

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