アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題 (角川文庫)
アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題 (角川文庫) / 感想・レビュー
ころこ
手塚の記号的表現は、まんが表現の枠組みを大きく逸脱し、キャラクターたちに死にゆく、性的な生身の身体を与えたところにまんが史のはじまりがあった。それはデッサンを基本とするリアリズム表現とは異質のリアルを、手塚まんがの中に発生させた。しかし、他方でキャラクターに大きな矛盾を生じさせることになる。記号=人口の身体であれば成長することはできないが、アトムの造形は戦後の問題と共に成長していく。アトムは手塚が自覚した記号による限界への自己言及だ。「アトムの命題」とは、成熟不可能性を与えられたキャラクターが、いかにして
2023/07/11
静かな生活
86点*サブカルチャー評論基礎の基礎。この手の「現代思想」として、東浩紀や宇野常寛を先に摂取した身としては大方自分の中の「大塚英志像」と良くも悪くも一致していた。しかしながら、この「文芸とサブカルチャーの間に大差はない」という身も蓋もない事実は冗談抜きで「世紀の発見」であるということに違いない。
2020/03/12
氾濫
Webでコラムを読んで気になり購入。やや難しかった。
2018/08/08
富士さん
マンガやアニメの表現研究には超基礎文献です。一読だけでは本書の意義を完全に理解するのは難しかったですが、手塚さんの認識では漫画の絵は絵画とは違う別の体系の記号であるということと、モンタージュ理論の採用はよく言われる映画的な演出の要件というよりも一コマを記号として理解することにつながった、という説がとても重要だと思いました。そう考えると、漫画が生み出す物語とはコマという文字で書かれたキャラクターという単語が一定の文法に従って並べられたことによって発生した意味であると理解することが出来るのではないでしょうか。
2018/01/16
クロノ
漫画ってただ娯楽としてだけ見ていたから興味深かった。
2023/02/06
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