円環少女 6 (角川スニーカー文庫 153-8)
円環少女 6 (角川スニーカー文庫 153-8) / 感想・レビュー
芳樹
副題からして不穏。世代も立場も違う敵味方(もう誰がどっちかも判然としないが)ともに信念に基づいて闘う姿に圧倒されました。でも肝心の仁だけは『信念』が見えないんだよなあ。「助けたい」じゃなくて「助けてやりたい」というところがどうにも引っかかる。メイゼルとどういう関係になりたいのか。今回の一件が彼を変えていれば良いのだけど…。そして、学生運動に身を捧げた国城田、清水、寒川のそれぞれの想いと30年後の立場の違いに何とも切なくなる。仁を中心とした人間関係はこれからどうなっていくのか…。
2021/08/14
まりも
核を巡った地下戦争編完結。メイゼルの命を救うために地下へと潜った仁が最終的には地下の人々の戦う。今までは不確かだった仁の感情が確かなものとして存在するようになったか。完全大系王子護との戦闘は久々のガチバトルって感じがして盛り上がりました。時代が変わった事で立場も変わった3人といいこの作品は切ない結末を残していくんですよね。それでも仁とメイゼル達はなんとか着地できたのは良かった。王子護も一筋縄ではいかん存在だし今後どうなるんだろう。
2014/08/15
シュエパイ
女の命を背負った男が、気おされて下がるんじゃない!と、鬼火の先生が言い放つシーンはかっこいいなぁ。後、神和さんが発言するだけど空気が緩むのは仕様ですかwそして寒川パパ、スクーター全速で降誕・・・!かつて戦っていた3人の、致命的に分かれた道と邂逅の結末が、まぶたの裏に残るのです。純真無垢に神を信じるリュリュと、ヨブのように打ち捨てられてなお神様を信じるエレオノールの、どちらが神意なんだろうね? さぁ、小学校の夏休み明け、人生墜落中だと生徒に指摘される先生のみらいはどっちだ(笑)
2013/07/09
あなほりふくろう
国城田事件終結。仁の中で揺らぎながらも確としてあった感情が、この戦いの中でひとつしっかり形成された、そんな印象を持った。なのに「せんせは好きなものに痛くされるのがスキなのよ」とか「人生墜落中ですね」とか、親の心子知らずじゃないけどもうね......頑張って♪ もひとつ印象的だったのが、安保闘争世代の怒りを「古い」と断じた寒川さんに激しく動揺する寒川父。所詮はノスタルジーなのか、そうではなかったと信じたかった彼の「憎むな、殺すな、許しましょう」の叫びが、ひどく切なく聞こえたのだった。
2013/08/17
fukumasagami
ーそして行き場のない仁がにぎったままの拳銃は、はじき飛ばされた。 彼の左手に、高圧の電気が流れたようなしびれが走ったのだ。振動や回転といった周期運動に《魔力》をみいだし制御する魔法ー円環大系の魔導師は、電気のあつかいにたけている。 振り返ったそのとき、薄闇の向こう、十メートルほど離れた隣の街区の屋根に彼女はいた。仁は、目の奥に押し寄せた熱いものをじっとこらえた。 彼女がいた。 生きて会うことはないかもしれないと、どこかで思っていた少女が、そこにいた。
2024/05/03
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