円環少女 (9)公館陥落 (角川スニーカー文庫 153-11)
円環少女 (9)公館陥落 (角川スニーカー文庫 153-11) / 感想・レビュー
fukumasagami
「せんせは、キモチがふらふらしているんじゃないわ。つらくて、痛くてしかたないの。キモチが大ケガしてるのに前に進むんだから、まっすぐ歩けるはずがないのよ。その苦しい顔をいつもおいしく味わってるあたしが言うんだから、まちがいないわ」 《鬼火衆》の魔炎の輝きに照らされた少女が、こわいはずなのに、彼を勇気づけてくれた。 「せんせは、失敗したって死んでないんだから、まだ本当は負けてはいないの。あたしだってそうだもの、まだ負けてないわ」
2024/07/05
芳樹
焼け落ちた公館。京香の依頼を受け、仁は火を放った東郷を打つべく地下へと向かうが…。いつもグチグチ言ってフラフラしていた仁がついに自分の中に”悪”を見つけ、自分のあり方を確かなものにします。いや〜ここまで長かった。やっと仁を主人公として認められるよ(笑)。そして《鬼火》の生き様に惚れ惚れする。涙。それにしてもメイゼルの犬志望の変態魔術師・ニガッタが再登場してコメディ&シリアスの両面から活躍するとは…。さて物語の転換点とも呼べる今回ですが、仁の新たな試みは刻印魔術師たちにどんな《夢》を見せてあげられるのかな。
2021/09/30
まりも
「鬼火」東郷と「沈黙」仁の決着、そして九位登場回。新しい時代を作ろうとする公館と過去の象徴である「鬼火」東郷と鬼火衆。鬼火東郷の最後の一仕事がかっこよすぎる。ギャグ要員だと思っていたニガッタも飼い犬としての誇りと忠誠心を抱き散って行ったりと逝く者たちがかっこよすぎます。それに反して仁は中途半端でみっともない姿を見せすぎだけどそんな彼だからこそメイゼルの「せんせ」になれてるんでしょうね。何気にベルニッチさんで和んだ。
2014/08/17
シュエパイ
燃え落ちた公館に、命を捨てる場所を見つけた鬼火衆。家で酒宴を囲んでいた東郷先生の、散る桜のようなはかなさが、綺麗で切ないのです。それと対照的に、鬱屈した未来を蹴飛ばすように【大好き】の合図を出しながらおにいちゃん呼ばわりする小さな魔女が、相変わらずぶれなくて素敵(笑)初めて放たれた"螺旋の化身"が、いよいよ円環体系の真実に近づいているのです。虎坂井の、人が奇蹟に振り回されなくてすむ地獄が理想郷だ、って台詞が好き。ニガッタの死も、東郷の死もしっかり刻みこまれました。
2013/07/10
さとみん
衝撃の「お兄ちゃん」から始まって「姐さん」で終わる大きな区切りの巻。ずっと偽善と任務の間でフラフラしている仁はどこにも行けない気がしていたから、闘技場では涙が出そうになった。あの仁があんな事を言えるようになったとは!加えて《九位》の登場で、やっとメイゼルの背負ってるものが語られると期待が高まる。神聖騎士団の方はアンゼロッタよりもエレオノールとリュリュの落とし所が気になって仕方ない。また単なる変態と思っていた面々にも見せ場が用意されているようで楽しみだ。
2023/11/02
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