少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫) / 感想・レビュー
hiro
桜庭初期代表3作の一つ。淫乱な母親から生まれた稀に見る美少女七竈は、自分と似た『かんばせ』(桜庭さんはよく使いますね)をもつ幼馴染の風雪だけを友達として、鉄道模型だけを愛している。放浪している母、母の友達でもある風雪の母、昔母が関係をもった男達、そして七竈をスカウトにきた元アイドル等、七竈の周りの「可愛そうな」大人たちの中から、可愛そうな少女は、大学入学を機に風雪とも別れ東京へ旅立つ。七竈は東京で強く生きていくのか、美しさが邪魔をして可愛そうな大人となってしまうのだろうか。そういう余韻を残す作品だった。
2011/11/10
射手座の天使あきちゃん
「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。」たった一行で、この小説と桜庭さんの「とりこ」になりました!(笑) いんらんな母のせいで美しい「かんぱせ」と多くの悲しみを背負って生きる少女・七竈、唯一の友にして同じく美しい「かんばせ」を持つ少年・雪風、そして二人を取り巻く大人達と一匹の犬 独特の口語体に不思議ワールドへトリップでした!! <(^_^;
2012/04/04
kishikan
桜庭さんの本は6冊目だけど、桜庭さんが女性なのをすっかり忘れていた。だからじゃないけど、田舎の街に住む若者(女の子)の心理の表現に感心しきり。僕も雪深い東北の町に育ったので、小説の舞台旭川(もっとも旭川って大きな町だけど)に住む高校生達が抱く気持ちに、キュンとなってしまう。あの頃は未来は都会にあるものと信じ、でも故郷にとどまりたいという気持ちもあり、大人になりきれてない自分と早く乳離れしたい自分との葛藤に悩んでいた。でも今は都会の住民。可愛そうな7人の大人って?という疑問はあるけれど、感極まる見事な小説。
2015/12/27
和夜
《図書館》内容は結構ドロドロしてるはずなのに凄く綺麗なものを読んだ気分。最後の「七竃」「雪風」だけの会話にどんな思いを込めたのか。想像するとなんだか切なくなるようなほっこりするような複雑な気持ちになります。緒方後輩は最初は嫌な子かなと思ったけど最後の方は可愛い後輩でしたね。「わたしは美しいふたりが好きだったのよ。ばら売りしないで」の台詞が好きです。
2016/06/28
おしゃべりメガネ
直木賞作家桜庭さんが描く私の故郷「旭川」を舞台にした青春作品です。しかし、正直読んでいてあまり旭川感が感じられなかったのが、ちょっと残念でした。雪の街として旭川をピックアップしたのかもしれませんが、別に旭川じゃなくても良かったかなと。美女の「七竈」と美男の「雪風」は幼馴染で、共に'鉄ちゃん'として青春を過ごしています。「七竈」の母はちょっと変わりモノであり、愛犬「ビショップ」と祖父だけがマトモなキャラかなと。作品の雰囲気や会話が森見さんの『夜は〜』に似ていて、その不思議さが私にはちょっと苦手な感じでした。
2019/06/30
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