戦いの音楽史 逆境を越え 世界を制した 20世紀ポップスの物語
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21世紀音楽の挑戦/ みの『戦いの音楽史』
YouTube「みのミュージック」で独自の音楽批評を行う、みの氏。著書『戦いの音楽史』では、20世紀ポップスの歴史を軸に、世界と日本音楽の発展を解説しています。 アーティストというのは一見、深く考えずノリで、自分たちの好きなことで偶然スターになったと思われがちです。しかし彼らの地に足つけた、マーケティング術、リーダーシップ、リスク管理能力の高さは必見! 様々な逆境を越えたエピソードの数々は胸を打つことでしょう。 20世紀のポップス史は、音響の記録・再生・複製の技術発展とも密接な関係をもっています。レコードやテープといった音響媒体(メディア)と再生技術の発明によって、音楽はより強い拡散性をもつようになりました。 1980年代初めにはCD(コンパクトディスク)が市場へ導入され、音楽産業はアナログからデジタルへと移行します。そして21世紀に入り、パソコン、インターネットの環境が広く普及し、音楽業界の産業構造が大きく変化し始めることになります。 連載の最終回は、21世紀の音楽産業の変化について触れたいと思います。その前にまず、音楽媒体の歴史を振り返っておきましょう。 磁気媒体が、…
2022/6/15
全文を読むヒップホップの歴史をひも解く/ みの『戦いの音楽史』
YouTube「みのミュージック」で独自の音楽批評を行う、みの氏。著書『戦いの音楽史』では、20世紀ポップスの歴史を軸に、世界と日本音楽の発展を解説しています。 アーティストというのは一見、深く考えずノリで、自分たちの好きなことで偶然スターになったと思われがちです。しかし彼らの地に足つけた、マーケティング術、リーダーシップ、リスク管理能力の高さは必見! 様々な逆境を越えたエピソードの数々は胸を打つことでしょう。 「ヒップホップ」は、ブルースなどのように人々のあいだで自然発生的に生まれた音楽ジャンルです。ブラック・ミュージックのなかでも突然変異的なかたちで現れました。そして、人種差別や貧富の格差に揺れた1990年代に黄金期を迎えます。 今回は、ヒップホップがどのように発展してきたかを、歴史を振り返りながら見ていきましょう。 1970年代、ヒップホップ黎明期 ヒップホップの黎明期は、やや遡って1970年代になります。 1914年から50年頃までに起きたグレート・マイグレーションで都心が“人種のるつぼ”となると、上流階級、中流階級の白人たちが郊外へと移り住む、「ホワイトフライト」という…
2022/6/1
全文を読む音楽大量消費時代の到来とジェネレーションXの救世主/ みの『戦いの音楽史』
YouTube「みのミュージック」で独自の音楽批評を行う、みの氏。著書『戦いの音楽史』では、20世紀ポップスの歴史を軸に、世界と日本音楽の発展を解説しています。 アーティストというのは一見、深く考えずノリで、自分たちの好きなことで偶然スターになったと思われがちです。しかし彼らの地に足つけた、マーケティング術、リーダーシップ、リスク管理能力の高さは必見! 様々な逆境を越えたエピソードの数々は胸を打つことでしょう。 パンク・ロックの鎮静化に伴い、パンクの精神はオルタナティヴ・ロックが受け継ぐことに。そして、音楽大量消費時代到来のなかで、アンダーグラウンド音楽がメジャーシーンを喰う快進撃が始まります。 『MTV』と音楽大量消費時代 1980年代に入り、アメリカでは景気が上向き傾向を見せ始めます。1982年には音楽記録媒体としてコンパクトディスク(CD)の生産がスタートし、音楽もかつてないほど需要が高まります。 そうした音楽産業を大きく支えたのが、1981年に開局したポピュラー音楽の専門チャンネル『MTV』でした。『MTV』では、24時間ミュージック・ビデオ(MV)が流されます。 それまでは、コ…
2022/5/18
全文を読むパンクは “ペテン”だったのか?/ みの『戦いの音楽史』
YouTube「みのミュージック」で独自の音楽批評を行う、みの氏。著書『戦いの音楽史』では、20世紀ポップスの歴史を軸に、世界と日本音楽の発展を解説しています。 アーティストというのは一見、深く考えずノリで、自分たちの好きなことで偶然スターになったと思われがちです。しかし彼らの地に足つけた、マーケティング術、リーダーシップ、リスク管理能力の高さは必見! 様々な逆境を越えたエピソードの数々は胸を打つことでしょう。 第7回で紹介したように、“ラヴ&ピース”のメッセージで1960年代後半を席巻したヒッピー・カルチャーでしたが、一方でまったく別の表現を用いた若者たちも存在しました。サウンドは荒っぽく、技巧よりも精神性を重視した彼らの音楽は、セールスには結びつきませんでしたが、「原始(プロト)パンク」として、のちの「パンク・ロック」の源流となります。 ロックに反抗した「パンク・ロック」 当時、ニューヨークには『CBGB』というライブハウスがあり、出演するには「カバー曲は禁止。全曲オリジナルを演奏すること」というルールがあって、オリジナルであればどんなバンドでも出られました。1973年…
2022/5/4
全文を読む日本語でロックは実現できるのか?/ みの『戦いの音楽史』
YouTube「みのミュージック」で独自の音楽批評を行う、みの氏。著書『戦いの音楽史』では、20世紀ポップスの歴史を軸に、世界と日本音楽の発展を解説しています。 アーティストというのは一見、深く考えずノリで、自分たちの好きなことで偶然スターになったと思われがちです。しかし彼らの地に足つけた、マーケティング術、リーダーシップ、リスク管理能力の高さは必見! 様々な逆境を越えたエピソードの数々は胸を打つことでしょう。 1960年代、アメリカ合衆国を席巻したビートルズをはじめとするブリティッシュ・インヴェイジョンの音楽は、日本にも到達します。その影響を受けてバンド形態での音楽が流行りますが、日本のレコード業界特有の“歌謡秩序”にのみ込まれていきました。引き続きロックに目覚めた若者たちが自作自演を模索するなか、「ロックは日本語で歌うべきか、英語で歌うべきか」という日本語ロック紛争が勃発します。 ビートルズが日本に与えた影響 1966年にビートルズが来日します。 当時は超弩級の人気アーティストを迎えるコンサート会場もなく、日本武道館が候補となります。前例がなかったこともあり、「不良…
2022/4/20
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戦いの音楽史 逆境を越え 世界を制した 20世紀ポップスの物語 / 感想・レビュー
mae.dat
20世紀。特に中盤以降ですかね。録音技術を有した音楽業界は、転換期を迎えたと言う切り口は新しいのかも。本書ではそれを、リズム、メロディ、ハーモニーにプラスして『音色(おんしよく)』と言っている。いや、音楽業界、そもそも音楽そのものに疎いので「そんな事語られ尽くされているよ」って事なのかも知れないけれどさ。音楽を配信、宣伝する方法も、時代によって様変わりを繰り返していますね。IT革命後の現代においては、シームレス化が音楽業界に於いても避けられず。日本ならではの音楽が、世界とどう折り合うのかは興味深いですね。
2021/04/30
徒花
うーん、たぶん、いい本なんだと思う。というのも、自分がまったく音楽、とくに洋楽に興味がないので、本書で述べられているアーティストがまったくわからず、いまいちその凄さがわからないまま読み終わってしまったからで、たぶん音楽に興味がある人にはとっても学びが深い、体系立ててすごくスッキリまとまった一冊なんだと思うとしかいえない。なんとなーく、ロックとかポップスとかの大まかな流れは理解できたような気がしなくもない。
2021/11/29
1959のコールマン
☆2。こりゃ普通の音楽史だ。「戦いの」とついているからどんなに挑発的な事がかいているかな?と期待したが、大ハズレ。売りたいが為のタイトル名としか言えない。じゃあ初心者向けか、というと、ちょっと癖があって私はすすめない。まあそれはともかく、「おわりに」で「邦楽を通史で論じるという試みはほとんど行われていないのです」とあるが、通史をとらえた、数少ない本としてジュリアン・コープの書いた「奇書」を「非常に深い内容の本」と言っているのは解せない。本当にきっちり読んだの?文献としては使えない本だよ?
2022/10/05
ミライ
YouTube「みのミュージック」のみのさんが20世紀の世界(+日本)ポップスの歴史を解説した一冊。1940年代~2000年代まで、アメリカを中心にしたロック・ポップス・ヒップホップの歴史が超コンパクトにまとまっており、黒人差別やドラッグ・暴動など、歴史の裏側に隠された背景を交えて語られているので、あまり音楽に詳しくない方も楽しめると思う。全部通してみるとボブディラン~プレスリー~ビートルズ~ブリットポップ~ニルヴァーナまでが一本の糸でつながっているのがわかる。
2021/08/13
ウィック&ぺディ
★★★★半 音楽史はだいたいは頭に入っていても説明しようとするとなかなか難しい。この本はそれぞれの内容は浅いけど、その分ピンポイントで要点をとらえていて、驚くほどカバーしている範囲が広い。欧米と日本の100年の歴史のあらゆるジャンルや音楽媒体に触れているといっても過言ではない。社会情勢や技術革新などの流れに対してアーティストたちがいかに立ち向かったかという歴史も踏まえていて、タイトルがうまくハマったと言える。著者はミュージシャンにして音楽YouTuber。音楽史を俯瞰にするには最適な一冊となるのでは。
2021/05/20
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