ゆれる
ゆれる / 感想・レビュー
スリカータ
50代でこの本を読んだ人は少ないのでは。私は昨年、娘の強い勧めで「凛として時雨」を知った。3ピースバンドながら身を切り裂き魂を削るような激しさと圧倒的な音圧に、驚愕し、どハマりした。本書を読み先ず感じたのは、TKは主観とそれを客観視する二つのパーソナリティがあることだ。ギターにのめり込み、プロとして邁進するまでの怒涛の勢い。そして、楽曲製作の苦しみは、想像以上に魂を削っていた。生じた微かな違和感を見過ごさず、突き詰めて己の表現に昇華する。それがTK、その人なのだ。
2023/07/16
ちぃ
アニメを見ることはそれほどないけれど、数少ない好きなアニメの主題歌を凛として時雨が担当していることが多い。世界観をとらえた歌詞、独特な楽曲、この人の頭の中はどうなってるんだろうと思った。音楽が時に救いで、これしかないというすがるようなものかもしれないけど結局大好きなんだという熱量、作りこみにあたってのストイックな職人気質₋イメージ通りでもある一方で、天才っぽい雰囲気からはやや意外の感もする「普通の青年」像。最近仕事に対しての熱量を失って程々でやり過ごそうとしていた私に、何か考えさせるものがあった。
2023/08/03
チワ
それは2時間半の旅だったけど、TKの頭の中を何周もツアーした。とても刺激的で、苦しくて、幸せな旅だった。 こんなに考えて、苦しんで苦しんで、一つの掴みたい伝えたい何かのためにメチャクチャ必死になれるアーティストって、かっこいいなんて言葉じゃ表せられない。 TKが自分自身で興奮できる音を探しにどこまでも潜って全てのドアを開いていく過程で見つけた全てのものに、祝福されて欲しいと思った。 飲み物を飲むのも忘れて読み込んだのは初めての事かもしれない。こんな読書体験ができて幸せです。
2023/06/21
灯火
時雨の音楽は刃物的だけど殺傷力が高いというより、聴いた後に気づいたら満身創痍になっている感じ。 自分が苦手だ、嫌いだと思ったことを跳ね返さず何でそう思うのかをとことん突き詰めるとそこには意外な出会いが待っていたりする。 一つずつ確認しながらこれじゃないこれじゃないを繰り返して曲を作る、そうやって地道に進んで出来上がったものは奇跡だし職人のような姿勢に感服。 ファンだけじゃなくジャンル問わず創作する人すべてに読んでもらいたい一冊。 これからもTKは脳内に隠された鋭利な刃物を絶えず研ぎ続けていくんだろうな。
2023/08/09
なつのおすすめあにめ
はじめて時雨の曲を聴いた時、はじめて時雨のライブに行った時、その時の衝撃、受けた事を忘れない。そんなことを、曲をかけつつ読みながら噛みしめた。曲もそうだが、TKのような人はなかなかいない気がするし、それ故の孤独もにじみ出ている文章もあった。
2023/07/15
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