角川俳句ライブラリー これが名句だ!
角川俳句ライブラリー これが名句だ! / 感想・レビュー
harass
『この俳句がスゴい! 』の続編。16人の俳人たちを語る雑誌記事をまとめたもので、今回取り上げている寺山修司をどう評価しているのかを読みたくて借りる。著者は寺山の俳句の盗作問題はクロとし、本歌取りだとしても本歌取りのルール違反であると。だが作品の魅力に抗えないという。著者は苦しげにTSエリオットの引用をする。「未熟な詩人は贋物を作り、熟練した詩人は盗作する。だめな詩人は原作を損ない、良い詩人は原作を更に良いものにするが、少なくともまったく違うものにする。」
2018/05/10
メタボン
☆☆☆ 俳句の読み方には戸惑うが、小林恭二の「読み」はわかりやすく、同氏が選者となった俳句本は手に取ってしまう。花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ(杉田久女)蛍籠昏ければ揺り炎えたたす(橋本多佳子)降る雪や明治は遠くなりにけり(中村草田男)~この句は切字を二つ使ってルール違反なれども名句はやはり名句。同じ草田男の、万緑の中や吾子の歯生え初むる~無季語の句だがこの句により万緑は季語となった。真直ぐ往けと白痴が指しぬ秋の道(草田男)蝶堕ちて大音響の結氷期(富沢赤黄男)冬の蠅病めばかろがろ抱かれもし(鈴木真砂女)。
2019/05/19
しーふぉ
取り上げている俳人で1番有名なのは寺山修司か⁈杉田久女や川端茅舎など俳句に詳しい人には常識なのかもしれないが、素人には初めて聞く俳人の作品を楽しく鑑賞出来ました。丁寧に俳人の説明や俳句の説明があったのが良かったです。
2019/10/13
オールド・ボリシェビク
再読か、三読か。小林恭二という人の俳句の読みを、私はかなり、信頼しているのだ。本書で取り上げられいる俳人は杉田久女、川端茅舎、橋本多佳子から寺山修司まで16人。特に中村草田男の論考は読み応えあり。人間性に対しては微塵の疑いもないが、形式に対する感覚には相容れないものがあるとしたうえで、「しかしわたしは彼を認めます。彼のような人がいたからこそ、日本の俳句は、ひいては日本の文芸はより豊饒になったのですから」とする。また飯田龍太が寺山修司を「盗作の度が過ぎるから」と評したというエピソードもなかなか凄みがある。
2022/06/05
押さない
タイトルと表紙がとてもダサい。それに反比例して内容は有意義で実のあるもの。俳人の背景や、解説における言葉選びや表現力もピカ一。もったいないおばけ。
2020/01/02
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