ドゥ・ゴール (角川選書 617)
ドゥ・ゴール (角川選書 617) / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
イギリスやアメリカは「おアメリカ」「おイギリス」とは言わないのに、フランスだけは「おフランス」と言う。そこには揶揄が込められている。祖国フランスを追われイギリスの二枚舌の名人チャーチルを時に頼り牽制しながら、大国アメリカを利用しつつも核の傘のもと守られようなど思わず、自国の舵取りを譲らなかった。国とも国民とも離れ頼りはBBC放送のみという最も弱い立場にいながら、一歩も引かず物申せた男-イギリスがもめながらもEU離脱を選び、ヨーロッパの雄ドイツも首相が辞任を発表。EUがごたごたしている今こそ登場して欲しい。
2019/05/30
kk
対独敗戦による亡国の憂目と、アルジェリアをめぐる内戦の危機から、フランスを二度救った男。まるで神話の英雄譚のようですが、この評伝に書かれていることは全て史実だから驚きです。そのドラマチックで、しかし苦悩にも満ちた人生に思いを致すとき、良いも悪いもなくただ溜息をついてしまいそうになります。そんなド・ゴール将軍の面目と活躍と苦しみを、名手・佐藤賢一が過不足なく描ききりました。マイナーな人名等がたくさん出てきたりして面倒臭く感じる向きもあると思いますが、基本的には、物語として楽しく読める一冊だと思います。
2021/04/16
イトノコ
エリート軍人として順調なキャリアを歩んできたドゥ・ゴール。しかしWWⅡが勃発、ドイツの侵攻により国外へ亡命、自国の主権を取り戻す戦いを始める…。買ってから気づいた、小説ではなかったと。あとがきによると、やはり没後まだ日が浅くノンフィクションの体しか取れなかったらしい(でも同年代のチャーチルはこの前映画化されてたけど…)。しかしWWⅡ中のナチス、親独のヴィシー政府、かならずしも味方ならずの英米を相手にとっての大立ち回りはまさに大河ドラマ。これはぜひとも小説のスタイルで読みたかったなぁ…。
2019/06/09
パトラッシュ
第二次大戦期の指導者についてはヒトラーを筆頭にチャーチル、スターリン、ルーズベルト、ムッソリーニから東條英機に至るまで多数の伝記や研究書が出ているが、なぜか日本ではドゴールに関心が薄かった。亡命政権首班だったためもあろうが、国家の後ろ盾がないのに不利な条件下でも決してあきらめず戦い抜いた彼がいなければ、国連安全保障理事会常任理事国としてのフランスはなかった。亡国の危機を迎えるとジャンヌ・ダルクやナポレオン、ドゴールらが出現する国とは何なのか考えてしまう。いつか著者が描く第二次大戦史を扱った小説を読みたい。
2019/06/04
ガットウ
★★★★4.0点。ドゥ・ゴールは60年代までバリバリの現役だったのですね。知らなかった事ばかりで、まさに『知ってるつもり』でした。
2019/11/21
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