和歌史 なぜ千年を越えて続いたか (角川選書 641)
和歌史 なぜ千年を越えて続いたか (角川選書 641) / 感想・レビュー
袖崎いたる
短歌修行のために。この著者さん、寺山修司に感電しただけあって、短歌の精髄を掬う手つきに演劇的な(と言えばいいのか)おかしみがある。手つきというより体の動かしかたと言えばいいのかな。よい。古典の名歌に入っていってその中から動体的に誘われる味わいを語ってくれるから、論理よりも感覚で読んでいくところが、やっぱりよい。思い返すと文法的な解説ってあまりないのよ、この本。短歌があって、そこに働いている想像力や作者の立ち位置・演技生活、言葉のロゴロジカルな働き、それを扱っている。
2021/05/17
kenitirokikuti
図書館にて。「後鳥羽院」。『後水尾院御集』の巻頭を飾る歌、〈試筆古今御伝授翌年 時しありと聞くもうれしき百千鳥さへずる春を今日は待ちえて〉。「百千鳥」は「稲負鳥(いなおおせどり)」「呼子鳥(よぶこどり)」と並び三鳥と呼ばれるもの。百千鳥は古今集・春上・二八「百千鳥さへずる春は物ごとにあらたまれども我ぞふり行く」に由来。後水尾院の受けた伝授では臣下を指す。稲負鳥は今上帝、呼子鳥は関白。
2022/07/30
shouyi.
万葉の昔から続く和歌の歴史を時代毎、代表的な歌人の歌を中心に語る。とてもワクワクする本。渡部先生の歌への情熱が伝わってくる。岩波新書で渡部先生の和歌入門を読んだら、次はこの本で正解だったな。
2022/02/25
そうび
鎌倉期以降に詳しくなかったので、概略を知るのが楽しかった。頓阿、正徹、三条西実隆、細川幽斎、後水尾院、香川景樹。地下から和歌の宗匠が生まれるっていうのが時代を感じる。古に学び、清新な感覚を磨くっていうのは共通項。しかし作者のクセが強くて、ちょっと私には合わなかった。
2021/08/16
Eri
和歌のことはよくわからないけど、訳を読むと当時の人たちが感じた想いや気持ちに自分の思いを重ねられるようで、時代を超えて心が通じ合えた気がして素敵だなと思っていた。そんな初心者にとってもこの本はわかりやすく、和歌の歴史をひとりひとりの歌人の作品と一生を振り返りながら解説してくれる。和歌とはいったい何なのか?が語られている「はじめに」がもういきなりわかりやすい。初めて和歌のことを知るガイドブック的に手元に置いておきたい本。
2021/02/14
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