北神伝綺 (上) (角川コミックス・エース)
北神伝綺 (上) (角川コミックス・エース) / 感想・レビュー
拓也 ◆mOrYeBoQbw
メタ歴史長篇。『遠野物語』をはじめとして民俗学者・柳田國男をモチーフにした連作。柳田氏の元弟子の兵頭北神を主人公にしていますが、柳田國男その人を描きたかったのが良くわかりますね。登場人物は軍人・緒方を”除いて”全て実在の人物という触れ込みですが、有名人以外はなかなか確認できません(><;)。原作の大塚氏が民俗学者・宮田登氏の研究室出身と言うこともあり、漫画的とはいえ面白い考察が見られますねー(・ω・)ノシ
2016/05/21
翔亀
柳田国男を主人公とする濃密なコミックス。最近はアニメ・文芸評論家として名高いが元々民俗学が基盤の大塚英志の作。日本人の先住民族である「山人」が昭和初期に実在していたという想定の下、<神隠し><マヨイガ>など柳田学のテーマを素材にした伝奇ハンターもの。柳田は自説であった山人実在論を否定した後の転向者=昭和軍国権力側の人物として描かれるが、表向きは破門した弟子・北神(=山人出身のハンター)と行動を共にするところが、柳田の両義性を示唆していて興味深い。当時の風俗考証も確かで、柳田漫画として堪能した。お薦め■91
2014/01/26
Bo-he-mian
西洋を近代化へと推し進めたキリスト教は、原ヨーロッパ的な古代宗教の神々を「悪魔」へ塗り替え、邪悪のレッテルを貼り社会から放逐する事で新たな信仰へと成り代わった。ヨーロッパがこうして「近代という仮面」を被ったように、日本も明治維新以降の近代化の中で、古き佳き日本的なるものを否定・排斥して極端な西欧化を推し進めた。我々は現在、そのいびつな西欧化の果てにいる訳だが、近代国家が形成されて往くその歪んだ過程を、ファンタジーを交えながら描いたシリーズ「木島日記」「八雲百怪」へと連なる第1作がこの『北神伝綺』である。
2020/03/14
すがし
どうしようもない駄作。まず古代に大和民族よりも前に人がいたから絶滅させる……昭和初期に。という2000年の時代を超えた陰謀史観がどうしようもない。その上キャラにまったく魅力がない。主人公はどうして柳田に従ってるの? 柳田にそこまで人を惹きつけるなにがあるの? キャラの心理や機微がまったく描けておらず、上下巻読んでも大塚英志が病的に幼女を偏愛していること以外なにもわからない。駄作というのすら当たらない問題外の愚作。
2012/06/07
辺野錠
昭和を舞台に展開される物語の嘘っぷりが楽しい。宮沢賢治をマヨイガと結びつけたり竹久夢二と伊藤晴雨の共通のモデルが霧社事件に絡んだりと歴史上の事件や人物の結び付け方が面白かった。折口信夫が出て来て木島日記と微妙に絡んだり北神にはモデルがいるかのように見せかけるのも楽しいポイント。
2016/03/18
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