澄江堂主人 前篇 (ビームコミックス)
澄江堂主人 前篇 (ビームコミックス) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
芥川龍之介を主人公にした漫画。小説家達を全て漫画家に変えている。この趣向がどこかで生きて来るのか。芥川龍之介の短い人生は暗い影があり、松本清張『昭和史発掘』で暴かれたような問題を抱えたものである。そういう事実を無視せず全部踏まえた上で、山川直人のあの雰囲気の良い絵柄で進む。そう言えば私が初めて読んだ文学作品は芥川龍之介だった。次第に他の作家に目移りして、橋本治の芥川評に影響を受け「芥川は童話だけ素晴らしい」と思う事にして顧みなくなっていた。この漫画で芥川龍之介にきちんと再会した気分。続きが気になる。
2019/09/12
り こ む ん
作家芥川龍之介を漫画家として描いた作品。失礼な話。私は芥川龍之介をなんとなくは知ってはいるけど、深くは知らない。ちょっと、それが仇となってはいるけど、山川さんの独特な表現と絵柄で、面白く読めた。全体の感想はまとめて書くとして、この機会に、学生時代、嫌々、読まされた。芥川龍之介、夏目漱石、森鴎外などなど、改めて、じっくり読み直すのもいいかもしれない。
2013/11/13
アーチャー
小説家・芥龍之介の生涯を描いた漫画だと思ってたら、彼や彼を取り巻く著名人たちも全員漫画家として脚色&解釈して描いているのが面白いです。それにしても、あと2巻もあるのに、既に死の影が大きく龍之介に覆いかぶさっているのが不気味です。果たしてどんな展開、そしてどんな結末が描かれるのか気になります。
2013/01/24
てんてん(^^)/
芥川龍之介の半生を、文学を漫画に置き換えて描かれた異色の伝記。漫画に置き換えたことによって、龍之介の現実と、入れ子になっている龍之介の描く作品とが途中で溶け合ってしまい、どこまでが(作品内の)現実なのか虚構なのか分からなくなってくる。それがなんともいえない不安感をかもし出している気がする。 また「漫画を描く」芥川龍之介の姿は、クリエイター故の苦しみや挫折をたびたび描いてきた山川直人の自己投影であり、そんな山川直人だからこそ描ける芥川龍之介の真実がこの作品にはあるのではないかと思われる。
2010/12/09
さとさとし
独特の画風で、コーヒーをもう一杯でもおなじみの作者が書いた芥川龍之介の最後の数年のお話。 作家たちを全員、漫画家化しているの面白く、そのため一段馴染みやすいものにしている。 芥川龍之介他、大正~昭和初期の頃の作家たちが多数登場し、その頃のざっくり古典の枠に収めていた作家たちの関係性を興味深く読んだ。
2024/04/20
感想・レビューをもっと見る