美しの首 (ビームコミックス)
美しの首 (ビームコミックス) / 感想・レビュー
チャーリブ
日経の「半歩遅れの読書術」で夢枕獏氏が読み終えて「ああこの世に近藤ようこがいてよかった」とため息が出ると書いてあった。そんなにかとキンドルで『美しの首』を読んでなるほどと納得。本書には「美しの首」「雨は降るとも」「安壽と厨子王」「玉鬘」の4篇が収められている。死んだ若武者の美しい首に恋する女、猿曳とお姫様の道ならぬ恋、河原者の厨子王の成り上がり物語、下半身が蛇だという玉鬘、いずれもエロスとタナトスが混じり合う不思議な作品だ。しばらくハマりそう。○
2022/03/26
アルピニア
前回読んだ「死者の書」は原作が難解とのことで、作品に漂う不思議な雰囲気もそのせいかと思っていたのだが、(原作のない)近藤さんの作品も同じように不思議な空気に満ちていた。すっきりとした線からなる画風もそうだが、せりふや地の文の間合い(読者がふと止まるような)が独特なのかもしれないと感じた。「美しの首」は、人間の欲や未練が不気味だが、ふっと力が抜けるような終わり方がで余韻が残った。「玉鬘」は、別視点からの源氏物語になっていて興味深かった。他にも「近藤さんの描く源氏物語」があったら読んでみたいと思った。
2016/07/29
あぶらや
再読 いつ読んでも何度読んでも引き込まれるのが近藤ようこさん。 中世日本の男女の悲喜こもごもを独自のタッチで描く。その力は昔も今も変わらない。氏の本を見つけるとすぐに買ってしまう。 我が家の本棚にこの本は二冊になってしまいましたとさ。
2018/06/29
多喜夢
この作者の緩く美しい線の絵が大好きです。「安寿と厨子王」はよく知った話とまた別の地獄極楽の幻想的な物語。堪能しました。
2020/12/14
あさひ
時代物に現代の倫理観、道理を持ち込ませないところが良い。絵巻物のような描線と淡々とした語り口が造りあげる物語世界がそれをさせないのだろう。理不尽な暴力も不遇な境遇も、そこへするりと怪異が入り込んでも、勧善懲悪もない。因果応報でもない。ただ人の営みと感情の揺れがあるだけだ。
2022/09/18
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