天國 パライゾ (ビームコミックス)
天國 パライゾ (ビームコミックス) / 感想・レビュー
ぐうぐう
戦禍における信仰を問う丸尾末広の新作。パライゾという発想は、ここが地獄であるという認識がまずあってのことだ。ここ(地獄)ではないどこか(天国)へ。焼け野原になった敗戦直後の東京、原爆投下の長崎と、アウシュビッツの収容所。それぞれの地獄で、人は弱さのあまり、天国という甘美な夢にすがる。その夢を利用する神父もいる。それは、パライゾを信じすぎるあまり、地獄を受け入れすぎているからだ。そんなふうに、地獄をさらに欲で彩ろうとする者もいれば、少しでも地獄を良くしようとする者もいる。(つづく)
2020/12/12
DRAW
宗教色が強い作品。この世という地獄のなか、遺された人間はどう生きるのか。
2021/11/21
ぴい
本人も自認する通り、江戸川乱歩の世界観は丸尾末広。「パノラマ島奇譚」を書店で見た時のざわざわした感覚は忘れない。極彩色で美麗だが罪の匂いがする。見世物小屋を覗くような、綺麗な蝶に蟻がたかるのを見ているような。頭で理解していても手にする勇気がなくて、本書が初めての丸尾本となった。氏の新境地。アウシュビッツと戦後の焼け跡…そして信仰とは?優しさとは逆の、正義とは無縁の人間のありようが突きつけられる。昭和の時代を這うように生きた人が生み出した世界。祝画業40周年。
2021/01/17
タマキマタ
足りない。全然物足りない!続き無いのかな?
2021/01/04
ねじおさん
丸尾の中でもとても好き。サヨがルドルコを見出す場面が特に好き。自分の魂を地獄に落とした人、その人から教えてもらった天国を自分の天国としてしまっているのがどこか悲しい。パライゾはどこにあるのか。地獄の中で何かを信じるということ。信じることは人間であると思った。五感があることも人間であること。同じ人間だからこそ、彼らの経験がわたしの地平で震え、心を貫く光を感じる。眩しい光をわたしも見たいと思う。そう信じたいと思う。
2022/08/16
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