ロリータの温度
ロリータの温度 / 感想・レビュー
匠
”僕は、六回死んだ少女を知っている。”なんて書き出しから始まる本書。ロリコンではないが「少女」という永遠になれないものへの憧れは多少ある。主人公の少女は仮想現実の妹、ロリータ℃。伊島薫氏の写す限りなく透明に近い青ざめた少女の写真の数々は、儚くて美しいし、文体も詩的ではあるけれど、右から左に流れていってしまい、心動かされることはなかった。いまどきの12歳は「少女」と言えどもすっかり背も高くて大人びているので、9歳くらいまでで良いのでは、などと思いながら読んでしまったのがいけなかったのかも(苦笑)
2013/04/18
空箱零士
★★★★ 可哀想な少女がいる。無垢で繊細で薄幸で何回でも死んでしまう、そんな少女がいる。そしてそんな少女の有り様そのものに癒やしを感じてしまう僕たちがいる。可哀想な少女はそんな歪んだ「お兄ちゃん」を求めてディジタル世界を駆け巡る。コピーを終えた世界はあっさりと滅亡し、ただ一人少女だけが残される。それでも少女は運命の少年を、彼女のことを愛してくれる少年を探しさまよい続ける。可哀想な少女は可哀想なことに運命の少年に永遠に巡り会えないだろう。彼女の少女性、体温は運命の少年を探し続ける永遠性に担保されるのだから。
2014/09/17
sibasiba
表紙が凄い好きで衝動買いしたもののそれで満足して本棚の片隅に。購入後10年以上の歳月が過ぎ、遂に読んだ。ストーリーはどうでもいいけど、この人の文章は好きだ。「多重人格探偵サイコ」から派生した物だがいくつかの名前以外無関係。
2013/04/04
暇鬼影
12歳で残酷な死を迎える6人の少女。それは語り手である「僕」の創造したロリータ。「僕」は読み手である僕たちの全体、あるいは一部なのだろうか。この本を読んで、自分の中に体温の高ぶりを感じたら、それは僕たちの中にいる、凄惨で美しいロリータ達の温度なのかもしれない。
2012/04/08
やますけ
流動すること
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