チワワちゃん (単行本コミックス)
チワワちゃん (単行本コミックス) / 感想・レビュー
青蓮
読友さんのオススメから。短編集。何処かへ行ってしまいたいのに、何処へも行けない、誰かになりたいのに、誰にもなれないーーそんな苦しさと切なさが作品全体に漂っているように感じました。特に表題作の「チワワちゃん」がお気に入り。殺されてしまったチワワちゃん。友人達から語られる生前の彼女の姿はどれもバラバラで、うまく像が結べない。一体チワワちゃんとは何者だったのだろう。でも、他人から見たその人の「人物像」はそんなものなのかも知れない。誰かを完全に理解して知ることの限界を感じる。解り合えない悲しさだけが募る。
2017/03/22
ちぇけら
フツーに生きて、フツーに死にたいだけなのに、どうしてこんなに怖いのだろう。屋上にのぼると普段目にすることのない景色がひろがって、そこから見える米粒のようなひとたちのことなど、米粒ほどもわかることはできないのだと思う。きみのことわかるよと言うひとのことなんて、信用するどころかキョーフをおぼえる。毛布を何枚重ねても、とれない震えがある。無条件に、愛されるひとはいいなあ。もどる場所があるひとはいいなあ。ただここで、トーキョーのまんなかで、生きている。そのことすらあやふやで、排気ガスでくもったままの空を見上げた。
2021/01/17
あさひ
学生ぶりに読み返し。チワワちゃんのはなしが一番好きかな。岡崎京子が大好きでした。
2019/01/19
gachin
いつもの岡崎京子。「会話や性で繋がっていても人間関係が繋がっていなくて•刺激が強いだけのものに囲まれている。しかしそこには目を向けないから、理由も判らず苦しい。誰か助けて。」と著者が悲鳴をあげてるように読める。10代なら時代の被害者かなという感じもするが、20代以降も同じスタンスなら事態を固定化するただの共犯者だと思う。
2020/08/19
wasabi
「もしあたし達が死んじゃったらどう言われるのかなあ」「んー 死因にもよるけど 日本の女のこがね 死んじゃった それだけよ」「それだけ?」「うん きっと それだけ」。『リバーズ・エッジ』にも匹敵する傑作短編集。岡崎京子の描く朝焼けには毎度のことながらシビれる
2013/01/15
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