八雲百怪 (2) (単行本コミックス)
八雲百怪 (2) (単行本コミックス) / 感想・レビュー
眠る山猫屋
小泉八雲を“パパさん”と呼ぶ奥さまの、なんと風情のあることよ。素敵な妻を迎えていたのですね、ラフカディオ・ハーンさん。前世の記憶と捨て子伝承が絡み合う『こんな晩』は一見ホラーな幕開けだが、辿り着いた先に待っていたのは哀しみに満ちた親子の絆。後半は森林太郎とエリーゼの終わらない愛憎。浦島太郎の伝承を元に、ふたりの想いの差が圧倒的な二律背反を生んでいく。人の世の恋路とはかくも難しいものなのだなぁ・・・。顔は怖いが朴念仁な甲賀三郎と、剽軽で役立たずな八一、そして頼りになるキクリ姫が小泉八雲を支える構図も暖かい。
2023/08/11
Bo-he-mian
小泉八雲=ラフカディオ・ハーンと異貌の仕分け人・甲賀三郎がうつし世とかくり世の狭間を彷徨う明治民俗学幻想譚。第3話「こんな晩」・・・ある夜、八雲の背中の赤ん坊が突然「俺を捨てたのはこんな晩だったよな」とつぶやき驚愕。私は前世で息子を殺めたのだろうか・・・と悩む八雲は鍵を求めて、神隠し・人体発火・そして間引きが猖獗を極めた村へ。古代の神まで登場する、大塚節全開のてんこもりストーリー。果たして八雲の真実は?/ 第4話「儀来婆」・・・森鴎外が、死んだ恋人・エリーゼを呼び戻そうとして、異界の門を開いてしまう。
2020/01/30
ぐうぐう
「夜空に意味を見つけるのは 旅人が孤独なせいです」。小泉八雲と、4話に登場する森林太郎こと森鴎外。過去に帰るにも帰ることのできない場所で生きる二人の、その過去への想いが怪談へと、小説へと形付けられていく。「私が生きていく上で どうしてもエリーゼの面差しが必要なのだ 思い出なくして どうして人が老いていける」。
2009/07/13
辺野錠
2巻も相変わらず伝奇色薄めで幻想的な雰囲気という印象。土玉が登場して松岡参事官と甲賀三郎のやり取りの中で木島日記を思い出させる台詞が出て来るのが嬉しい所。森鴎外がめんどくささを発揮していたがこれもまた人間臭い気がする。
2016/03/18
Hibiki79
北神や木島よりも、黄泉に近い3人+1が、シリアスな世界を、かしましく股にかける様が楽しい。そして視認性すら犠牲にした森さんの絵は最早美しいどころじゃない
2009/05/05
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