ゆで卵
ゆで卵 / 感想・レビュー
あつひめ
辺見さん初読み。タイトルでは思いもかけなかった内容に最初はかなり戸惑ってしまった。危ない世界に足を突っ込んだ?と引き気味・・・。力みのない、気の抜けたような語り口調でオヤジ臭さ炸裂。なのに…ついつい最後まで読んでしまうのは、次は何が出てくるの?と秘密の扉を開けるような興味がわいてくるからかもしれない。読みながら、つい鼻をひくつかせてしまう…。
2011/10/12
橘
なんだか寂しい空気。性も食も、3大欲求というものは近いものがあるのかなと思ったりします。
2021/02/22
mortalis
「ゆで卵」。主人公の男の言動がいちいち良かった。擦り切れてもうそうは呼べなくなっているのかもしれない信念のようなものや弱さや反応が全て共感をもって読めた。だから当然気に入った。表題作の他では「エビフライ」「キイチゴ」「ホットケーキ」などが良かった。だが大体どれも良い。「エビフライ」では突然変ってしまった美江さんの言動に狼狽する男の様子がおかしくて笑った。「ホットケーキ」はメモのようなものだが、これをメモしておくのは自分にも大事な気がする。この最後の話は語りくちが別の作家の物真似みたいで、それも可笑しい。
2015/12/05
やっさん
表題作だけ中編。他は短編。ゆで卵の匂いから女のアソコの匂い、ニョクマムの匂い、地下鉄サリン事件の駅構内の匂いまで連想とそれぞれのエピソードを絡ませる。退廃的かつ猥雑だなぁ。 その他の作品も食べ物にちなんだ(主に)男女の話。出張家族をやる「マスクメロン」女にだらしない大学教師がホヤになりたいという「ホヤ」などが面白かった。男女がこのように(割と)すんなりくっついたり離れたりって、もうできない時代かもしれない。 相変わらず仏教語とか古語とかでてきて知的。 ”ポクポク”とか”ふぐふぐ”とかの擬音が面白い。
2014/03/12
eazy
おもしろい。この怠惰と疲れと猥褻と非情。「中年の文学」。 匂いの連想から突如地下鉄サリン事件現場へと読者を連れ込むこの業師。 まったく油断のならない文体だあ。
2000/08/03
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