雨鶏
雨鶏 / 感想・レビュー
kishikan
平成9年出版(平成6年~7年の野生時代に連載)の短編連作集なんだけど、やっぱり芦原さんらしさが色濃く出ている作品だなあ。時は大阪万博の頃、学生運動華やかなりし大学生活を描いたもの。でもそこは芦原さん。ぐうたら学生、人生風任せのような飄々とした主人公山越君の生きざまを、壁に当たってはくじけ、山があったら遠回りし、雨が降れば外出せず、のようなまあ適当な学生時代を過ごすお話なんですが、不思議なことにこの意味のなさそうな生活が、妙に意義深く感じてしまうのですよ。かくいう私の学生時代もこのような生活でありましたが。
2013/06/19
パン太郎
むさ苦しい学生生活の描写を最初の方だけ耐えればだんだん慣れてきて気がつくとどっぷりハマります。飄々とした中にときおり見え隠れする主人公の揺るがない何か。こんなグダグタな娑婆ですが物事の本質は自分で探しますのでどうぞお構いなくと。その芯が素敵。
2022/02/05
etoir_lune
こういったダメダメグダグダ大学生の小説を読むと「あー私もこんな大学生活してみたかったよー」と感じるのである。しかも、男、として。自堕落願望バリバリの文学青年になった気持ちでまずい酒を飲みたくなるんだよね。私は女だし、40も手前だし。もうこんな青春は二度とないよな、と分かっているし。しかも、私が20歳にうまくして戻ったとしても、更にうまく性転換できたとしても、やはりこんな風な大学生活を送らないだろうな、と感じるわけで。そうね、人生三回くらいこの時代を生きられるのなら、こんな青春の日々も送ってみたいよ。
2013/02/06
i-moko
デンデケのようなまっすぐで爽やかな青春ではないけれど、ちゃんと大学生の青春小説でした。ミミズクとオリーブの主人公と被るのだが、それもまた良し。偏屈王との卒論を仕上げるまでのやりとりが読みたいけれど、続編はあるんだろうか。
2012/10/25
Yori
大阪万博ころの学生生活
2014/04/05
感想・レビューをもっと見る