KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

ジュリエット

ジュリエット

ジュリエット

作家
伊島りすと
出版社
KADOKAWA
発売日
2001-07-01
ISBN
9784048733052
amazonで購入する

ジュリエット / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

あも

これが大賞か…。なんかもう感想これだけでいいんじゃねーかな…と思うぐらい何の印象も残らなかった。妻を失い、友人の連帯保証人となった事で家も失い、中学生の娘と幼い息子と離島の廃ゴルフ場の住み込み管理人となった主人公。ある瞬間を目撃したことから、過去に出会った人や生き物の死の思い出が周囲に現れるようになる。ホラーエッセンスのある離島文学作品と思えばまだ読めないことも…いや冗長な描写も、リアリティのない人物描写や台詞も、テーマもオチも構成も褒める所がないからやっぱ無理だ。今日の教訓:連帯保証人にはなっちゃだめ!

2017/02/22

ケディーボーイ

広大なゴルフ場管理棟の保全を任され、南の島に移住してきた家族。 島に伝わる「魂抜け」の儀式を偶然目撃してしまい、それ以来、家族の周りで奇妙なことが起こりはじめる。 儀式を行った老人はこう言った 「自分の思い出に食い殺される」と。 家族それぞれの中にいまだ強く残る死者との思い出。病気で亡くなった妻、自殺した同級生、悪戯で殺された仔犬の気配がする。 「シャイニング」のような舞台設定ながら、そこまでホラー感はなし。 美しい文章だが物語そのものは起伏もなく冗長。 本当に良くも悪くもないといった作品だった。

2021/02/21

目玉おやじ

震災で妻を失い破産した男。娘と息子と共に逃げる様に辿り着いた南の島。心に傷を負った親子に忍び寄る怪異。思い出に喰い殺される。思い出たちの宴が始まる-。他の方の感想にある通り、前半は「シャイニング」、後半は「ペットセマタリー」に似ている。「ペット-」の様な死者が蘇る「蘇りもの」にはお定まりの展開があるのだが…、この定型化された展開とは一線を画している終盤は面白い。ホラーらしくなくて、話に深みを感じた。但し、ここに辿り着くまでが長いと思うし、他のホラー大賞受賞作に比べると、地味な印象は拭えない。

2010/05/01

色々甚平

[日本ホラー大賞8]中盤まではシャイニング的なキング的な展開。巻末の評論で冗長と書かれている通りではある。ただ、終盤に向けて進んでからは良かった。阪神淡路大震災という認識しきれないほどの死や身近な死を目の当たりにし、日常の理不尽な状況に苛まれて家族という器のみが残っていた。その中で、大人も子供も個人で向き合わされる。未就学児の末っ子が殺された犬の死への気持ちを悔しかったと泣くシーンは全体を物語っているようで、歯噛みしながらも明瞭になっていく。ロミジュリのジュリエットのように思い出に呑まれない気づきを得る。

2020/09/01

かみしの

第8回日本ホラー小説大賞受賞作。抑圧されたトラウマに対してどう接していくのか、というのは生きる上での大きなテーマの一つだと思います。もしも“思い出”が肉体を持ち、自我を持ち、歩き始めたら、私たちは新たな選択をすることができるのでしょうか。本作の登場人物は各々が個々の傷を負っており、向き合い方もそれぞれ違います。そして物語の背後には、さらに大きなトラウマがほのめかされています。冒頭部のリフレインが効果的。力のある作家だと思うので、ぜひ純文学で、そして“今”、新たな文学を紡いで欲しいと思います。

2012/12/02

感想・レビューをもっと見る