グラスホッパー
グラスホッパー / 感想・レビュー
だんじろー
伊坂作品はほとんど読んでいるはずなのに、なぜかこれは見逃していた。で、映画化のタイミングに乗っかる形で読了。一言で言えば、正に“珠玉の伊坂ワールド”。散りばめられたジグソーパズルのピースのように、伏線が気持よく脳の空間に嵌っていくさまは爽快そのもの。いつまでも奥さん離れができず、お人好しで危なっかしい鈴木君の周りで、十分ドラマチックな物語が勝手気ままに進んでいく。ラストへの持っていき方も印象的ながら強引さは感じられない。文句なく、作者の代表作と認めたい。
2015/12/11
ちはや@灯れ松明の火
コンクリートで覆われた関東平野を肉食バッタたちが我が物顔で跳ね回る。一般市民の日常のあちらこちらに散らばりのさばる社会の暗部に蠢くアウトローども各種在庫取り揃え有り。命の遣り取り日常茶飯事、風が吹いたら桶屋が儲かりバッタが跳ねれば死体が転がる。そして奴等は共食い上等。押し屋・槿の一仕事はバトルロイヤル開始のゴング。依頼と成り行きが重なって発生した、自殺屋・鯨と殺し屋・蝉の自然界ではまずあり得ないレアな対戦カードに心ならずも巻き込まれた妻の仇討志願の元教師・鈴木。さて、熾烈な激戦を勝ち残るのはどのバッタだ?
2010/11/04
くろり - しろくろりちよ
『マリアビートル』の前編に当たる物語として。妻を「令嬢」と呼ばれる組織に殺された鈴木が「令嬢」に潜入、事件に巻き込まれて…。他にためらいもなく殺しをする「蝉」、自殺を強要する「鯨」三つの視点から描かれる。傑作…とまでは行かなくても、この世界のどこかにある底知れない力の存在を感じる。登場人物それぞれの持つ背景が、あるはずなのに書かれていない、そこがさらに怖くて興味をそそられて。続編も期待。
2011/07/05
財布にジャック
「マリアビートル」を読む前に再読しました。相変わらずスピード感があって面白いです。でも善良な市民が一人も出てこないので、面白いという感想は不謹慎な気もします。スズメバチと劇団には再読だというのに、開いた口が塞がりませんでした。これから読む「マリアビートル」ももの凄く楽しみです。
2010/11/29
ヨミー
映画化されていることを知り、今更ながらの初読。伊坂作品3作目。殺し屋絡み内容なので、前半はグロい描写などもあり、馴染めず進みが悪かったです。ですが、鈴木、鯨、蝉の3人の視点から章が分かれており、後半で交わってくる展開に先が気になりのめり込んでいって、結果的に面白く読了です。悪人がなぜか悪人ぽくなくポップな印象でスムーズに読めた。鈴木の亡き妻の影響力が印象的でした。続編にあたるのがマリアビートルみたいなので、そちらも読んでみたいです。映画も観てみたい。
2015/10/25
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