闇に学ぶ: 辺見庸掌編小説集黒版
闇に学ぶ: 辺見庸掌編小説集黒版 / 感想・レビュー
ブラックジャケット
得意ジャンルの掌編小説から「赤い橋の下のぬるい水」「ゆで卵」「自動起床装置」の代表的中篇小説まで含むベスト的な一冊。記者出身の小説家は無駄のない文体がベースにあるので安定性は抜群だ。そこにちょっと不思議な味わいのエピソードを重ねる。ファンタジーとまでは言わないが、作家の手のひらで繰り広げられる血肉を感じさせる。やはり人生経験と広い視野を持った著者ならではの捨て身の構えがいい。掌編小説はエッセイ的な味わいもあり、変幻自在な小説の 形は魅力十分。ノンフィクションの傑作「もの食う人びと」も読んでみたくなった。
2020/09/28
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