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アムネジア

アムネジア

アムネジア

作家
稲生平太郎
出版社
KADOKAWA
発売日
2006-01-01
ISBN
9784048736411
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アムネジア / 感想・レビュー

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HANA

悪夢の中を彷徨っているような読書体験はあるが、本書を読むのはまさにそれ。一応金融ミステリであるが、背後で何かが進行している事だけがわかりそれが主人公の妄想なのか陰謀なのか判別がつかず、読者の認識すら曖昧にされていく。個々の事実は明白に書かれているのに、続けて読んでいくと漠とした印象になって全体図が掴めない。斯様な理不尽や何かが欠け落ちた感じも、まさに夢の中でよくある事だな。最後には突然舞台が移り手がかりは示されるものの、それの意味する事すらわからずに…。脳の中に手を突っ込まれ掻きまわされているようでした。

2021/07/25

田氏

この本をおすすめするコメントに、デヴィッド・リンチとかlainとか出てくるあたりで、良い意味でお察し。闇の金融サスペンスの形をとっていたものが、ページを進めるごとに瓦解していく。連続体としての私のありかたが否定され、世界のありかたが否認され、むき出しにされたところに何が現れたかというと…何だったのだろう。何であったところで、すでに過去から今につながる私があることは拒否されている。アムネジアとは、記憶喪失、健忘症。文中の言葉を引けば、私が記憶を喪ったのだろうか。それとも記憶が私を消したのか。区別はつくまい。

2021/07/22

タカギ

桜庭一樹氏の読書日記、皆川博子氏の『辺境図書館』でちらっと紹介されていた。後者は著者名のみかな。ミステリと銘打たれているけど、推理ではなく「不思議」なほうのミステリーかな。幻想文学に近いと思う。タイトル通り、記憶喪失の話。主人公はどうやらしばしば記憶の喪失、捏造を行なっているらしいのだけど、その原因に例えば「鈴が鳴った」とかわかりやすいきっかけはなく、なぜそうなっているのか私には不明だった。

2017/12/12

けんさん

『入り混じった記憶の中で彷徨い続ける』 個々の出来事は鮮明に語られるが、出来事同士の繋がりは不鮮明で、所々、現実離れした出来事が起きるため、全体を通して何が事実で何が夢なのか、最後までわからなかった。夢見心地の、なんとも不思議なミステリーでした!

2021/08/15

くさてる

分からない、曖昧、不安定で、謎。それがそのまま物語となっていて、だれも信用できないしだれのことも好きになれない。感情移入することをやんわりと拒否されてかわされて、読んでいる自分の立ち位置すら揺らぐよう。なので、はっきりした謎解きや解決を求める人にはお勧めできない。自分も、楽しんだとまではいえない。けれど、なんともいえない読後感がいつまでも残っていて、その気持ち悪さは、ほかでは味わえないものかもしれないのだ。題名通りに。

2015/03/05

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