少女七竈と七人の可愛そうな大人
少女七竈と七人の可愛そうな大人 / 感想・レビュー
とら
桜庭さんは結局こういう小説が一番合ってる。残念な事に。いや、まだ4作目だからどうなるか分からないけれど。「赤朽葉家の伝説」とか面白そうだしな~ミステリで。女性の泥臭い所の心理描写が上手。でも正直なところ、今回の主人公は理解しかねた。だって住んでる世界が違うから。周りの学校にまで美人という噂が蔓延していて、道を通るだけで振り向かれ、さらには親が旅に出ていて、鉄道好きな人の心情なんて分かるわけがない。でも分かるのは、時が経つと大人になるということだ。そこからは自分の心に任せるしかない。だから雪風、さようなら。
2012/01/09
エンブレムT
「たいへん遺憾ながらも美しく育ってしまった私。」独特な語り口の、望まぬ呪われた美を持つ17歳の少女・七竈(ななかまど)。そんな彼女と、道が交わる事はあっても決して重なって進むことの出来ない人々の物語。美しい少年・親友の雪風。穏やかな祖父。いんらんな母。母と関係のある男達。その家族。雪風を好きな後輩。余生をおくる警察犬。誰もが印象的で、それでいて少しずつ悲しい。なんだろう?この毒に満ちた透明感のある世界は!私にとって初の桜庭作品だったんですが、いきなり深みにはまった気がします。すごく、好きな世界でした。
2010/04/30
風眠
「わたし川村七竈は、たいへん遺憾ながら美しく生まれてしまった」って、言ってみたいセリフだけど、美しく生まれついてしまったが故の生きにくさもあるな、と思う。母親が7人の男と関係したことの呪いのように、美しく生まれついてしまった七竈。平凡であるが故に物狂いせずにはいられなかった母親と、非凡であるが故にじんわりとした苦悩を抱えている娘と。そして、ゆっくりと氷を溶かすように母親を赦していく娘の心の動きが印象的だ。真っ白く閉じ込められる雪の小さな町に真っ赤な七竈の実が鮮やかに浮き立つような、冷たくて儚い美しい物語。
2012/09/01
ミナコ@灯れ松明の火
ものすごく面白かった!!!!美しいかんばせを持って産まれた七竈。その美しさは、田舎の小さな閉ざされた世界では異端となっていた。美しさよ永遠なれ、少女よ永遠なれ、とついあり得ないことを願ってしまう。人生のうちのほんの一瞬の刹那を見事に切り取って描き切っている、と感じた。どこか古風な大正の空気を思わせる文章とよく似合う世界だった。七竈の赤、雪風のマフラーの赤、真っ白な雪、という色彩もとても美しい!
2011/07/21
れいぽ
ファミリーポートレートとは違う切り口の「母と娘」の話し。七竈の丁寧でぶっきらぼうな語り口が面白い。女の人生は母を許す、許さないの長ーい旅なのだそうだ。そして娘を産んだら、今度は自分が女として裁かれる番だという。サラリとしているが密度の濃い「血」の話し。個人的には犬好きなのでビショップが出てくるとテンションが上がりました(笑)
2010/04/28
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