些末なおもいで
些末なおもいで / 感想・レビュー
こっぺ
ホントに設定が奇抜。なのに、「普通」の高校生活に馴染んでしまっているのがすごい。「ともだち」との微妙な距離感が好き。ただ、話を聞いてやることしかできなかったりするのだなぁ。しかし、「話を聞く」って言う行為は立派に愛だと思う。
2009/04/02
てまり
夜、街は海になる。のっけからこのイメージに取り込まれてしまった。自分が選び決めてゆくということは同時に、ひとからも選ばれ決められてゆくということ。うかがい知れないひとの心の内と距離を計りながら、何かを信じたり、不安になったり、喜んだり悲しんだりして、生きてゆくものなんだろう。病以外は何の奇抜さもないのに、ものすごく気持ちに添う物語だった。どうも青春ものには、弱い。
2007/01/25
空梅雨
不眠で毎夜窓から深海のような街を眺める檜山は、ある晩暗闇から自分の名を呼ばれる。それは「あれ」という病にかかり毎夜徘徊する高校の同級生矢鳴であった。キューピーさんを加え三人は「あれ」の秘密を共有することで繋がって行く...タイトルとパラパラとめくったときに目に入ったキューピーの単語が決手で読みました。が、読み始めると青春を謳歌しているとは言い難い高校生、しかも話に奇病「しまったかな」と。ところが死は「あれ」の症状のお陰で象徴的に描かれて強調されず、思春期のアンバランスで不器用な心が優しく描かれています。
2014/06/14
めくる
とっても好きな本。静かに終わっていく話。だけどこの話は結末ではなくて途中経過にこそ見るべきところがあると思う。些末だけど、とても大きい、儚く大切な思い出たち。
2011/07/28
ちより
喪失による傷や痛みは、癒えることはなくても忘れていくことはある。些末な思い出と言い切ってしまえるほどに。それが哀しい。失っても変わらない自分や自分の涙を美化しない潔さが好きだ。冬の夜の空気のように冷たく湿った雰囲気が心地よい。
2009/10/02
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