鬼の跫音
鬼の跫音 / 感想・レビュー
takaC
六編ともゾッとする話だった。文字フォントは態とこれにしてあるのでしょうか?「た」が読みにくかった。"S"と"鴉"がキーワードみたいだったけれど、一編目の『鈴虫』には鴉は登場していましたか?
2012/02/10
風眠
人の悪意や狂気といった、外側からは見えにくい闇の部分を描き出した短編集。格調高い雰囲気の文章と、どの話にも登場する人物S(すべて別人)、そして、静かに忍び寄る鴉がたたずむさまは、黒い点がだんだんとひろがり、漆黒の闇に辺りを染め上げていくようだ。狂気という鬼に囚われてしまった人間は、もう後戻りのできない一線を越える。鬼の跫音に誘われ踏み込んでしまった世界には、そんな哀しい人間が棲んでいる。道尾氏の作品を読むのはこれが初めてだけれど、短編とは思えない完成度の高さに心奪われた。
2013/03/14
おしゃべりメガネ
個人的には非常に‘コワい’と感じた作品でした。ジリジリと「何かある、何か起きる」とビビりながら読んでいて、「アレっ?意外と・・・」なんて油断してたら、ちゃぶ台ひっくり返すくらいの勢いでやってくれます。笑いのツボもそうですが、恐怖のツボやレベルも人それぞれだと思いますので、今作にホラー100%を求めるのもなんとも言えないですし、かといって今作までの道尾ワールドを求めて読むのも、もっとなじまないと思われます。単純に「道尾さんはこういう作品(作風)も書けるんだ」というトコを楽しめればいいのではないでしょうか。
2009/11/07
ミナコ@灯れ松明の火
誰にでも心の中に鬼がいる。鬼の跫音を聞いたことのない人なんてたぶんいないと思う。何重にも蓋をして隠しておきたい心の底のまた底にある深い井戸を無理矢理覗かされた気分。時には拾い上げてくれる優しい手を、時には井戸に沈んでいくような重力感を感じながら読んだ。人が鬼に屈する瞬間の、とてつもない孤独と悲しみが胸を突き刺す良作でした。
2010/11/01
がらは℃
なんとも怖い物語ばかり。Sの存在が、向日葵の〜を連想させた。物語のベクトル的には同じかなあ。人が狂気に迷い込むのトリガーは、ほんの些細な事象。そして鬼が近づいてくることはわかっていても、気づかない様をしてしまう。それが人なのかなあ。
2010/10/11
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