夢見る水の王国 下 (カドカワ銀のさじシリーズ)
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夢見る水の王国 下 (カドカワ銀のさじシリーズ) / 感想・レビュー
菜花@ほのおかくとう協会門下生
最後は盛り上がりにかけるかな、という感じです。けれど、表現は詩的で素敵です。その言葉の端々から、幻想的な世界に誘われます。黒と白のコントラストも美しい。全体的に、物語りというよりは、詩集を読んでいるような印象でした。ちょっと飛んだ表現も多いので、作者様の意図を読み取るには再読が必要かもしれません。
2014/03/05
温
ああ、面白かった…!繊細な詩をいくつも数珠つなぎにしたような構成に独特の魅力を感じました。蜃気楼の島と現実世界とが微妙に呼応しながら、物語は水面にひろがる波紋のようにいつしか大きな輪となって、とてつもなく美しい風景を見せてくれます。この物語に、出会えて良かった。
2010/03/28
二藍
下巻ではオッドアイの黒猫の魂、ヌバタマが大活躍。いいなあヌバタマ。で、どうして読んでいて大変かっていうと、いつまでたっても迷宮を抜け出せない感じがするから。いろんな幻が次から次へとやってきても、ミコ、マコの心情の変化があんまり見られない。ただ『世界の果てに行く』っていう目的だけはあって……。ミコとマコ、ふたりが元の万美子に戻る、その結末は分かるんだけど、そこに至るまでの変化が読みとりにくかったかなという印象。上下巻とも通して、アイディアや描写はとてもよかった。
2013/08/03
織町
寮さんの紡ぐ言葉が好き。“雨あがりの空は、磨いたように澄みわたった。水晶のように冷たい風が吹きつけてきた”“木の根は地中の夜空にまで伸び、星を抱いて光を吸い上げている”“みんながあなたのなかにいて、あなたはみんなのなかにいる”だから、独りではないのだ。憎しみや悲しみを受け止めて、少女は生きてゆく。世界に果てはない。生きている限り中心にあるものはいつも自身だから。
2012/11/13
ハッピーハートの樹
下巻です。2人に分かれてしまったマコとミコ。どちらが本当の自分だったのでしょうか。むしろ影とされていたマコのほうが人間らしく感じました。誰の心の中にでも存在している”影”の部分。それを直視するのは辛いことですし、それを捨て去ってしまいたいと思うことは、仕方がないことなのかもしれません。でも本当に失くしてしまったら、人間らしさも失くしてしまうんでしょう。”夢見る水の王国”とは彼女の内面の世界だったのだろうと思います。悲しみから立ち直ることができて良かったです。ヌバタマの献身的な姿には胸を打たれました。黒猫。
2012/06/03
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