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アンネ・フランクの記憶

アンネ・フランクの記憶

アンネ・フランクの記憶

作家
小川洋子
出版社
KADOKAWA
発売日
1995-09-01
ISBN
9784048834179
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アンネ・フランクの記憶 / 感想・レビュー

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ぶんこ

小川さんが、この時期にアンネの軌跡を辿って本にしておいて下さった事に感謝したいです。 旅の目的を尋ねられた時に、アンネの名前やアウシュヴィッツの名前を出さなかった感性、その奥ゆかしさがあっての本になっていました。 読み終わって表紙を眺め、読んでいる時よりも心にグサッとくるものがありました。 ドイツ軍の几帳面さが、辛い。 自らの危険を顧みずにアンネ達を匿ったミープさんには、本当に感嘆しました。 そしてミープさん達女性陣を逃し、協力者として収容所に送られた男性陣。 ミープさんの本も読んでみたくなりました。

2015/02/27

ほりん

「アンネを語ろうとすれば、当然ナチス・ドイツや人種差別問題やホロコーストについて考えなければならないだろう。けれどわたしが本当に知りたいのは、一人の人間が死ぬ、殺される、ということについてだ。歴史や国家や民族を通してではなく、一人の人間を通して真実が見たいのだ。」作家小川洋子が、アンネの生きた軌跡を訪ねる旅に出る。アンネの成長が目に浮かび、心が痛み、虐殺の残酷さが胸にしみる。また、支援者ミープさんの毅然とした姿勢に、心打たれた。「人間として当然のことをしただけです」と繰り返す彼女を心から尊敬する。

2017/08/09

かさお

アンネの日記は小川さんの作家としての原点だと言う。ナチスに人生を奪われた悲劇の少女。大半のイメージと異なり、小川さんは、感受性豊かな文章から想像される魅力的な少女としてアンネを見つめる。幼なじみを訪問するみたいな気持ちで、隠れ家→アウシュビッツと、アンネの軌跡をたどる旅。ミープさんやアンネの友人と対談、アンネの足が踏んだ石畳を踏み、同じ空気を吸い、日記が買われた店を訪ね…読んでるうちに次第に過去と現在が合わさっていく不思議。偶像化されていない生身のアンネ、編集無しの「アンネの日記」を読んでみたくなった

2022/08/13

くるぶしふくらはぎ

小川洋子さんの創作の原点を見たような気がしました。小川さんの作品に出合ってから長いですが、彼女がここまでアンネ・フランクに心を寄せていたとは知りませんでした。小川洋子さんのこのアンネ・フランクを辿る旅行記を読んで、また、彼女の著作を振り返ると、見える世界が少し違ってきます。1995年初版のこの旅行記。アンネの関係者が存命で、著者は直接会って話を訊くことができている。あの戦争が時の中でまだつながっている。そのバトンを、途切れさせてはならないと、強く感じた。

2014/08/25

さぜん

終戦記念日を前にこの本に出会い、戦争の恐ろしさや人間の狂気を改めて考えさせられた。小川さんの小説を書く原点となった「アンネの日記」。そしてアンネの短い人生を辿る旅を記した本書は、小川さんの渾身の一冊だ。アンネの文学の才能や隠れ家での生活を命を懸けて支えた人達の存在を初めて知る。その一人ミープさんを通して「わたしは人間の真理に触れたのだと思う。単純だけど重みがあり、つい忘れがちだが本当に大切なこと。」と語る小川さんの言葉が胸に深く残る。読んで良かったと心から思える一冊。

2014/08/14

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