戦後民主主義のリハビリテーション (論壇でぼくは何を語ったか)
戦後民主主義のリハビリテーション (論壇でぼくは何を語ったか) / 感想・レビュー
阿部義彦
かなり分厚い本です。大塚英志は若い人は漫画原作者として記憶してる人の方が多いんじゃないでしょうか?元々は論壇の世界の住人でしたが、本人がテレビなどで顔を出すのが嫌いだし、誰ともつるみたくないと言うので時評などを出していた事も知らない方が多いと思います。もっぱら漫画編集者として頭角を現し自他共に認めるおたくでも有ります。そんな著者が論壇界から足を洗う為に総集編としてこの本を出したようなニュアンスです。宮崎や酒鬼薔薇やオウムそして村上春樹、嫌いな福田和也などに関しても言いたい事を言い切ってます。
2016/04/30
みみみんみみすてぃ
★★★★ 大塚英志が90年代に語ったことが広範囲にわたってまとめられている。しかし、その主張は幾つかのポイントで一貫しており、そのブレない精神に尊敬を抱いた。論理も分かりやすく、そして今読んでも色あせない批判性があると思う。また、当時論壇をかこっていた主な論者なども分かり、当時の論壇の雰囲気も伝わってきておもしろかった。日本はこの時よりもさらにどんどんダメになっているわけだ……苦笑
2016/01/28
しんかい32
論壇、政治、社会についての時評を集めたもの。前二者については鋭いところも多く、参考になった。社会論は犯罪者をダシに若者論ぶったりする面もあり感心できないが
2012/05/26
「結局、この国は『天皇』をどうするつもりなのだろうと心から思う。森総理の『神の国』発言は、結局は選挙の争点にさえなりえないまま忘れ去られようとしている。しかし、それは当然の帰結なのであって、別の場所で再三、再四にわたって指摘してきたように、浅田彰がJ-ナショナリズムと揶揄するところのこの国にたったいま蔓延する気分としてのナショナリズムは天皇抜きのナショナリズムなのだ。『天皇』問題から逃亡するナショナリズムなのだ」
2016/08/14
ゆーいちろー
90年代半ばから2001年にかけての文章。ここで取り上げられているテーマ…「日本国憲法」「17歳の犯罪」「オウム事件」「教科書・歴史問題」そして筆者との関わり合いがあったとはいえ、まだ語られる余地のあった「宮崎勤事件」。筆者が問う問題提起は未だに生き続けていると考えざるを得ない。日本の文化事象が高度成長期に始まるサブカルチャーを抜きにして語りえないのは、もうほとんど自明であるが、サブカルというものが「正史」から切り離された情報の断片に過ぎず、メインになることの責任を忌避し続けたという指摘は鋭く、重い。
2016/07/23
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