ベトナムから来たもう一人のラストエンペラー
ベトナムから来たもう一人のラストエンペラー / 感想・レビュー
samandabadra
1906年ベトナムの解放を目指す革命家ファン・ボイ・チャウを追って来日し、それから45年もの間、放浪の生活を送ったベトナム阮朝の始祖の直系の子孫クォン・デ(1881-1951)の生涯をつづる物語。すべてが綿密に編まれた事実だったら良かったのだが、あとがきで作者が作為的に書き加えたところがあると正直にいっているため、どれが真実でどれがそうではないのかよくわからない。もともとドキュメンタリー映画を撮るのが専門という方らしいので、ドキュメンタリー(よりももっとフィクションが入った?)映画としてみるのが正解か?
2009/06/05
Uz あなぐま
とても不運な人だった、結果的に若い情熱で人生を狂わせ報われなかった。革命の英雄としては凡庸であり、努力も覚悟も足りなかった。それでも植民地支配の苛烈さに行動を起こさずにはいられなかったのだろうし、その気持ちは本物だったのだろう。取材の終盤ベトナムでグェンについての記憶が消えかけているという展開には驚いた、まさに歴史は勝者が作る。教育の大切さと、共感や想像力を無くした集団の残酷さは、繰り返し思い出さなくてはいけない。
2019/06/23
gokuu
仕事用。阮朝の皇帝候補だったクォン・デの生涯を追った本。作風なのかもだけど、明らかに創作を混ぜてるところ(ご自身があとがきで言ってる)や心情についてまで踏み込んで書いてるところなど、ノンフィクションとしてどうなんだろ?と思うところは多々あったけれど、クォン・デ自身はやはり興味深い。ベトナムと日本の近代史を考えるのに忘れてはいけない人。
2014/10/25
ワッピー
日本では忘れられたベトナムの王族クォン・デを追って、時をさかのぼり、ベトナムに渡り、そしてそこでその墓を見るまで、一気に読んでしまいました。列強の国策に翻弄され、40年待ち続けて、独立の夢かなわず、故国に帰ることなく亡くなったクォン・デの悲劇。アジアの近代史ということで、目からうろこの事実がいっぱいありましたが、護衛のフィクションは罪だねぃ。あの部分を見てこの本を読もうと思ったんだから。
2011/11/05
Ryoichi
時代の光にあてられない人にだって物語はある。非常に人間臭いとこが逆におもしろい。
2023/02/22
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