世界が完全に思考停止する前に
世界が完全に思考停止する前に / 感想・レビュー
秋 眉雄
『遺族を主語にするのではなく、あなたの感想をまずは聞きたい』森達也は不思議な人ですね。 つかみ所が有りそうで無い、無さそうで有る。対象に対する切り口もグッと掴んで離さないのではなく、 離れていくものは離れていくものとして語る。そもそもグッと掴んでいるようでもない。 クラスに一人ではなく、学校に一人くらい絶対に必要な人って感じがします。 この本は、というよりこの本『も』、メディアの無自覚さを書いた一冊でした。
2017/08/08
なめこ
すべてに同意するわけじゃないが、うなづくことの多い本。いろいろな媒体に発表されたりお蔵入りになったりした文章が寄せ集まっていて、一冊の本として何かしら主旨のあるものではない。森達也という人の姿勢が見える。『エスパー』を読んだことがあったので、内容を思い出したりもした。相手の身になって考えろ、という自身の考えの押しつけ、過剰な善意と一方向からのヒューマニズム、メディアの萎縮と自粛と不正確な批判は、10年たった今もあふれていますね。
2015/05/09
nabebe
主語を失った善意や優しさで述語が暴走する、メデイアの恣意的な報道により作られる世界(曖昧さが許されない故に、、)、善悪二元論で語れない世界。そんなことが中心に書いてあった。沖縄戦で日本兵も日本人を虐殺していたこと、ちびくろサンボが物議を醸していたこと、メデイアにより印象操作された麻原の裁判などの話なども記憶に残った。この本が書かれたのは2006年くらい?森は2020の日本をどうみているのだろうか。
2020/07/11
生活相談屋
森さんは完全に僕と同じスタンスでものごとを考えている人だ(上から目線でスミマセン)。だからこの人の書いた本のなかに自分の知らないことが書いてあればそれはそのままその問題について自分がどう考えるべきか、という問いの答えになる。ある意味自分で考えることをはしょれるのでズルしてるようなものだ。大胆なことを言わせてもらうと、今メディアで一番信用できる人である(上から目線)。
2014/10/04
annie
賛同できる部分と、賛同できない部分がそれぞれあった。メディアの視点を自分の視点だと勘違いして、思考停止する人は多いと思う。一人称の主語を失った善意や優しさにはっきりと対決していきたい。
2010/09/02
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