脳内異界美術誌 幻想と真相のはざま (怪BOOKS)
脳内異界美術誌 幻想と真相のはざま (怪BOOKS) / 感想・レビュー
HANA
アール・ブリュットや遠野の供養絵額、橘小夢といったあまり表の美術史に出てこないものをキーワードに狂気や土俗、脳といったものと美術の関連を読み解く対談集。商業主義の奴隷となった現代美術に比べてアール・ブリュットは大好きなのであるが、そういう自分からすれば冒頭の松沢病院コレクションと春日武彦、京極夏彦は圧巻。『ドグラ・マグラ』思い出させるなあ。後はアール・ブリュット以外の供養絵額とか橘小夢が面白く読めた。後者は未発表の作品が多く見れて満足だし、前者は土俗の迫力を再確認。こういう脳内の迷宮彷徨うような本は好き。
2022/07/25
くさてる
さまざま「異様な美術」の紹介と解説の一冊。さすが荒俣宏、という感じで圧倒された。こういうのを博覧強記というのだと思う。とりあげられている橘小夢、供養絵額、アール・ブリュット、どれもが魅力的なのだけど、個人的には「幻想アート」の実践として紹介された山田維史氏の絵がとても好きなので、対談が読めて嬉しかった。偶然展覧会に来たサラリーマンに「あなたはなぜ、わたしの悩んでる夢を絵にして暴き立てるんだ」と抗議されたというエピソードが素晴らしい。面白かったです。
2022/09/07
petitlyz
【図書館で借りた本】博覧強記 荒俣氏の対談や写真のほかカラーページもあり、充実した内容。アウトサイダーアートに関する大西暢夫さんとの対談が個人的に興味深かった。グランマ・モーゼスの展示をずっと以前に見たことがあるのだけど、それと近い印象の絵が紹介されていた。惹きつけられる。売ろうとせず見せようともせず営みのように生み出される作品群には感銘を受ける。できれば手元に置いて何度も見てみたい。
2021/04/30
らむだ
季刊ムック『怪』初出の文章を加筆・修正し、序と導入を加えたものを一冊にまとめたもの。口絵に示されている猫と戯れる童女の供養絵額には、奉納した遺族の思いや願いが感じられ胸が詰まる。松沢病院コレクション・アウトサイダーアート・供養絵額・橘小夢。
2023/09/20
ルナティック
絵画といっても多彩で多様。そして何を規準とするのか。いや規準など必要ないのだろう。目当ては供養絵額だったが、満足できた。東北といえば遠野でも、思い込みだった遠野の新たな事実が分かり、スゲェ!と感嘆。また橘小夢のことは初めて知った。うん、幻想であり美しい。口絵のカラーに感謝。そして松沢病院コレクションには圧倒される。見せる人もいない。作者は亡くなったら無用のものとなる品々。でもそれこそが芸術なのか?
2020/02/27
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