東京百景 (角川文庫)
東京百景 (角川文庫) / 感想・レビュー
ホッパー
又吉さんの東京の様々な場所での追憶集。事実と妄想が混在していく文章もあって、そんなところもまた良かった。自分も東京に来てあの場所であんなことがあったな、と思い返したりもした。また読み直したい素敵な本でした。
2023/05/02
Vakira
言わずと知れた芸人で芥川賞作家の又吉さんが描く東京の百の風景とその場所にいた時の自分の生業を絡めた随想。人を笑わせたい。けど人が怖い。いいな~この絶妙なバランス。どこかで嗅いだこの匂い。誰だったか?もしや?そうだ、勝手に僕の印象ですが「人間失格」の葉蔵だ。いや津島修治?道化師と人間嫌悪と不器用な生辛さと純粋な性格、金欠時代、女性との関係はひもの様。して小説家。ほらほら、案外類似しているでしょう。現代の修治さんとちょっと東京散歩。風景と一緒に一瞬垣間見る又吉さんの妄想が面白い。僕の近隣町紹介がまた嬉しい
2022/05/12
ミライ
又吉直樹さんが2013年に発表した東京エッセイの文庫版、文庫化に伴いラストに一本(2020年の今を語った)エッセイが追加されている、表紙はのん(能年玲奈)さん。パート1~4まであり、1は下積み期、2からは綾部祐二さんとのお笑いコンビ・ピース結成後が中心のエッセイとなっている。エッセイは100本+αを収録されており、99本目のエッセイ「昔のノート」に言いたいことすべてが集約されている気がする。
2020/04/13
tenori
じんわりと脳に効いてくる感じのエッセイ集。【人と関わることは恐いが、関わらないと意思表示することは更に強い恐怖をもたらす】と前置きした上で【自分にとって『心』と『想像力』を放棄した者は例外を認めず『豚』なのである】と綴る。この作品で唯一とも言える過激な表現に又吉直樹という人物の矜持を感じとることができる。東京での生活を記録していながらノスタルジックな印象を受けるのも不思議で、言葉のセンスだったり、喩え方が独特で楽しく、ここで彼が芸人だったのだと自分の中でオチをつける。
2024/05/21
十川×三(とがわばつぞう)
面白い。100のエッセイ。▼著者は演者としてよりも,文章での表現の方が向いているように思う。▼小説『劇場』のモデルとなった,とにかく優しい彼女が登場。奇跡的な出会いの場面は,ほぼ実話で驚く。▼小説『火花』のコーデュロイのズボンのやり取りも実話(笑)▼36堀之内妙法寺の話が好き。又吉版「夢十話」だろう。▼最後の相方の話も良い。
2024/05/18
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