KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

ホテル・アイリス

ホテル・アイリス

ホテル・アイリス

作家
小川洋子
出版社
Gakken
発売日
1996-11-01
ISBN
9784054007741
amazonで購入する

ホテル・アイリス / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

青蓮

翻訳家の初老の男性と少女の恋愛を描いた作品。恋愛と書くと何やら上品な印象を受けるけれど、ここで書かれたそれは歪な形をした、淫靡で倒錯したものだ。F島に居る時、男はサディスティックな欲望を顕にする。鋏で衣服を裂き、少女の肉体を縛り上げ、鞭を振るい、髪の毛を切り落とす。少女はされるがまま――SとMの関係はF島を出ると逆転する。男は物腰が柔らかい紳士的な態度になるのだ。その落差にぞっとする。過激な描写があっても、やはりそこは小川洋子特有の静謐さが支配しており、不思議と嫌悪感がない。淡々とした一夏の物語。

2015/06/27

亜希

久しぶりの小川さん。17歳の美少女と初老の男の「SM愛」を描いた衝撃の問題作―という作品紹介だけを見ると”卑猥やん”の一言で済んでしまいそうだけれど、小川さんが描くとなんでこんなにも静謐で気品すら感じる作品になるのだろう。20年以上前の出版ですが、異国が舞台のようで時代を感じさせません。面白いかと問われれば正直そこまで…ですが、小川ワールドは十分に堪能できます。結末が現実的なのも小川さんっぽい。一点、マリが翻訳家に惹かれた理由だけあまり納得できないけれど、この作品でそれを言うのは野暮ですかね。

2019/01/12

海辺の街のホテル、ホテル・アイリスで働くマリ。彼女はある日、自分よりだいぶ歳の離れたロシア語の翻訳家と出会う。翻訳家は海辺の街から少し離れた小島で暮らしており、マリはそこに通うようになる。そこで二人が織りなすことは、歪な愛と呼ぶべきものなのか、わたしには最後までわからなかった。小川洋子さんの文章は静謐で繊細な映画を見ているような気分にさせられる。この作品は本当に映画化されているようで、映画ではどのように二人が紡ぐ時間を描いているのかが気になる。機会があれば見てみたい。★★★★☆

2022/07/30

刹那

すごい愛の形。私にはこわかったけど。

2016/03/07

スパイク

サントリーのシングルモルト”山崎”の宣伝コピーに「なにも足さない、なにも引かない。」ってのがあった。私、そのシングルモルトの深い味わいってのが、まったくわからない。たぶん、わかる人にはわかるんでしょう。SM題材だが、ぜんぜんエロくもなく心も震えない。ただSM書いて、何も足さない、なにも引かない小説でした。

2015/05/31

感想・レビューをもっと見る