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吾輩は天皇なり: 熊沢天皇事件 (学研新書 14)

吾輩は天皇なり: 熊沢天皇事件 (学研新書 14)

吾輩は天皇なり: 熊沢天皇事件 (学研新書 14)

作家
藤巻一保
出版社
学研プラス
発売日
2007-09-01
ISBN
9784054034709
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吾輩は天皇なり: 熊沢天皇事件 (学研新書 14) / 感想・レビュー

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gtn

政治ゴロではない。心の病でもない。自分が南朝の後胤であると本気で信じつつも、戦時下不敬罪や治安維持法により口を噤まされていた熊沢寛通氏。戦後、言論の自由を得て、先祖の無念を存分に叫ぶ。現天皇打倒への共闘を条件に、熊沢天皇の即位を認めろと共産党に迫る氏。これに対し、党は、天皇制が廃止されれば自由にすればよいと突き放す。現天皇どころか、熊沢さえも否定する党。そのエキセントリックさは氏を上回る。

2019/10/19

imagine

PKディックの小説みたいだ。私達が疑わずにいる現実世界が、実は虚構であると言わんばかりに登場した熊沢天皇。GHQがその利用価値に目をつけ、関東軍のクーデター計画に巻き込まれ、様々な思惑で支援する者が続出したという人生はその後、場末の映画館で幕間に演説を披露する見世物へと転落してゆく…。この書が素晴らしいのは、熊沢天皇が実際に南朝系皇族の子孫である可能性を切り捨てず、その生き様に伴走して書かれていること。周辺資料も丹念に掘り起こされている。天皇と国民の双方をコントロールする仕組みついて言及する最終章は圧巻!

2019/05/23

いのふみ

彼の聴衆よろしく、珍しい物見たさで手に取ったが、右翼に担がれそうになったり、おこぼれを狙うゴロにまとわりつかれたり、高度成長と逆行するような晩年を送ったりと哀しさもみえる(自滅という側面の方が大きいが)。一方で他の自称天皇と違い利を貪ることはしない奇妙な潔癖さがある。南朝を正統と言い張るのも、北朝系の現天皇が天照の直系であり、高天原から降臨して全世界の統治権を得たと信じ込むのも狂気だ。これを乗り越え訣別しなければ、彼を笑えない。熊沢天皇という戯画から、天皇制という強固なシステムが浮かび上がる。

2017/06/19

inokori

戦後小さな騒動となった自称・後南朝後胤の評伝.権力奪取を伺う者が自身の正統性の担保として「玉」=天皇を担ぎ出す,これが2・26事件でも画策されていたようでこのイデオロギーは根深い.瀧川政二郎まで出てきたのに「熊沢天皇」の主張が正答に吟味され決着を見なかったのは果たして不幸だったのかどうか.戦後の政治体制の変化で「熊沢天皇」の正統性は法的にも埒外とされたが,結果にめげていなかった様子がやんごとなきお方らしい人柄を思わせる,なんてな.時折出てくる妻がサバサバしてて好印象.

2010/01/09

カツ

戦後のどさくさとGHQに勢いを得て自分こそが正当の天皇であると主張した熊沢寛道氏。ある意味歴史と時代に翻弄されたお人好しなのだろう。よくぞ右翼に殺されなかったと思うし、不経済で捕まらなかったものだ。欲を言えば、その思想の根本である南北朝時代の話をもっと知りたかった。

2020/09/16

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